たえてさくらのなかりせば

あなたに会わなければ私の心は平穏で退屈だったろうに。チクショーありがとう! という気持ちを書くところです。

『アクロス・ザ・スパイダーバース 』感想と考えごと

スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』2023年アメリ

いや~面白かったですね。スパイダーキャットをもちもちしたい。
久しぶりの感想文なので構成ぢからが無く、全体的なまとまりがありません。
前作の感想はこちら
3/9 スパイダーバース 舞台挨拶&本編感想 - たえてさくらのなかりせば

自分は前作スパイダーバースを劇場で見たあとエンドゲーム前にMCUラソンする中でトムホスパイダーマンも視聴しました。
その後なんとなくマーベルフェーズ3の流れに乗れずノーウェイホームは未見…というふわふわマーベル履修者であります。

前回はマイルスの世界に様々なバースのスパイダーマンたちが集結するお話、今回は色んなバースにグウェンたちスパイダーチームが転移を繰り返してはヒーロー業(交通整理?決壊後の土木事業?)をしていく中の話。

話が理解できて、かつ映像に満足しちゃうと自分としては語ることが殆ど無いんですが、記憶に残った表現と、ストーリーが示したいであろう主張について、考え事をします。

使用している画像は公式HPで配布されているものです。


「移動」で飽きさせない

アニメーションは前作より更に進化していて、特に追跡・逃亡といった「移動」のシーンが身を乗り出して見るくらい面白い。敵に攻撃しているシーンより移動シーンの方が本編中での分量多いんじゃないのかな、と思うくらい何度も何度も移動シーンが出て来るのに全く飽きない。スパイダーマンならではの蜘蛛の糸を使った遠距離移動、身体能力を活かしたパルクールが、超人的な動きとして楽しめる。あれだけ躍動的なアニメーションにするのは勿論大変なんだとは思うけど、移動しているだけで画面を保たせることができるというのはずるいくらいの強みだなと思う。
違う分野の作品ではあるけど、「銀河英雄伝説 Die Neue These」を映画館鑑賞しているとき自分がまず思っているのは「イイ声がずっと聞こえる~~さいこう~~」である。そのイイ声によって台詞が身体に染みこみ、壮大な映像と重なって物語が立体的に伝わってくるのだが、まず現代声優陣の精鋭たちを集めたお芝居が気持ちいいのである。

それと同じように、スパイダーバースは、アニメーションを見ているだけで気持ちいい。特に今回の『アクロス~』は前作よりもさらにパワーアップしている。冒頭の敵である空を飛び襲ってくるヴァルチャーに対し、追いかけていくグウェン・ミゲルの飛び方!跳び方!
それぞれの世界で異なったビジュアル、ノレるかっこいい音楽に乗せて、アニメーションにしかできない動きでびゅんびゅん進んでいく。とにかく気持ちよかった。

主にグウェンのアース65において、カラーフィルターのかけ方も今回印象的だった。空間にかけるというより、舞台と人物別々にライトを当てているというか。
キャラクターの心情や対立からの和解なんて関係性の変化も、背景のライティングが変化していくことで表している。部屋の内装や外壁などは背景として残しつつも時に溶け、白壁だったリビングがピンクや緑に染まっていくといったように、その風景のカラーそのものが変わっていくし、その前に立つキャラクターも別のカラーで照らされているので、アニメにおける心象空間というよりも、現代劇での演出、特に白塗りのシンプルな舞台でできる照明演出を、アニメーションの力を借りてより自由自在に行っているイメージ。背景が溶けて抽象的な色彩になるのは3次元舞台では出来ないし。
舞台以外のメディアで舞台的ライティングで演出した作品としては、個人的には『仮面ライダークウガ』が浮かびます。屋外ロケのシーンで、敵を左右から赤と緑で強く照らして異質性や緊張感の強調していたやつ。*13次元でやっていた手法を取り入れて3次元よりも自由自在に調整が出来るのは羨ましい。ずるいぞ!

それが一番美しく使われていたのは、グウェンとパパの和解ですね。ターコイズ・ピンク・ホワイトのグウェンカラーのライティングがされた自室でハグする彼女とパパ。よかったね……。あのカラーは他にも象徴する意味があるんだろうな。
グウェンが一番大好きなので、今回は活躍シーンも多いし人間として葛藤し歩むシーンも描かれていてよかったです。

グウェンへの愛、悠木碧への敬愛

グウェン、グウェンはほんとうにイイですね。今回かなり主役としてエピソードの時間が与えられていたと思う。男性の母か、妹か、娼婦か、そのどれでもない、かけがえのない主人公マイルスの友達。恋愛シミュレーションゲームのように主人公が無敵のパワーを持ってあらかじめ彼女の全てを救うことはしない。けれど彼女はマイルスと話すと元気を得て、自分の問題に立ち向かうことができる。その塩梅がよくて、格好良かった。
キャラクタービジュアルとして一番目を引いたのは、バレエシューズがハイカットスニーカーに変わったこと。前作の、全身スタイリッシュなのに足元だけリボンの巻かれたフェミニンな靴であるバランスが本当に好きだったのだけど、今回のスニーカーはグウェンがバンドをやったりスパイダーソサエティに属したりして活動的になったことの象徴なんだろうと思うとまた似合っていると思う。

悠木碧さんのグウェンは本当にかっこいい。1作目の感想でも書いたけど、低く落ちついたトーンのお芝居は、今まで自分が触れた悠木さんの出演作では聞いたことがない演じ方。たとえば幼くて、すぐに喜んだり怒ったりして、かわいらしくて……そうした声が本当に魅力的で沢山演じてこられたと思う。そのどれでもないお芝居が、とてもスマートに馴染んでいることが驚きだった。役者として幅を広げられていることをとても尊敬します。とっても素敵なので是非あのお芝居を色んな作品で見てみたい。吹き替えで成人女性を演じられる場合はあんな感じになるのかな?

今回はグウェンも悩んだり大事な人に危機が迫ったりして不安げになるシーンもあり、そうしたときは悠木さんの十八番である高めの音域で不安定に揺らいでいくのがかなりグッときた。「ヤダヤダヤダ!!」ってスパイダーのおきまりの台詞なのかな。あの時の音色がとても、泣きそうな感じで焦りをこちらに与えてくれる。

オリジンをなぞるこんな多様性がない夜に

以下、ストーリーを思い出しつつ脱線気味に色々考え事を書いています。

ストーリー展開とその主張について。叩きつけられた意志は現実での出来事にも響く。

1を見て素朴に感じていた「スパイダーマンには多様性がある」が「※ただしオリジンをなぞるに限る」という但し書きが下のレイヤーに乗っているものだんだというメッセージを出している。
そしてマイルスとグウェンのそれぞれの立場からそれを破り捨てる物語をやりたいんだ、という風に受けとったけどどうかな?
1・2作ともに導入として何度も行った「じゃあもう一度だけ説明するね!」は、天丼としてその後の台詞を省略する(だってみんな知ってるでしょ?)までが、ただその場を面白がらせるだけでなくて、どのスパイダーマンもお馴染みの流れしか辿っていないという裏返しにもなっている。「そうそうこれこれ」となるか、「その中でしか生きられない」という足かせとなるか。

「オリジンをなぞる」行為は「身近な人の死を契機として孤独なヒーローへと踏み出す」イベントが含まれるから、今回マイルスは抗っていくというのがメインの受け取り方だと思うのだけど、見ているうちに視聴者の現実とも重なって、色んな出来事が浮かび上がってくるような示唆をびしびし感じる。

・「○○の範囲内であれば多様性を認める」をしてくる他人のジャッジ
・フィクションにおける「フォーマット内の多様性(変容)」をどの程度まで許せるのか
・集団における弱者が虐げられることを「必要な死」と他人がジャッジすること

1番目と2番目は隣接していて、この辺考えるとぐるぐるするんだけど、まず「フォーマットの中での多様性」は必ずしも悪いことではないんだよね…。
自分の興味あるところでいえば、「リトルマーメイド」の話題、メインとして出演する女性キャラが明確にライダーとして変身する近年の仮面ライダー、逆に男子を主要キャラのキュアウイングとして迎えた「ひろがるスカイ!プリキュア
それぞれに、「ディズニープリンセスで/仮面ライダーで/プリキュアで」その属性に変えてまでやる必要ある?別作品で(任意の役割・物語を)やってれば良いじゃんという声があるけれど、ここについてはそれぞれの作品で、明確に必要性はある。
まあこれらは、子どもがメインターゲットという要因が大きいかもしれない。今後の価値観を作っていく子どもたちへ、特に既存の作品フォーマットに憧れつつも自分と同じような存在の居場所がないと不安になっている子どもたちへ、君たちもこの世界に居るよ、なれるよという呼びかけとして新しく属性を迎えることは、絶対に必要だと思う。これは、現実に確かに存在している当該の属性を見えなくしてしまわないための措置。

今までなかった属性を描いても、既存作品にあったアイデンティティや魅力はなくならないよと示すことも同時に必要で。これがフィクションにおける、フォーマットに守られて育まれる多様性だと思う。

一方で、「○○が描かれていればどんな要素があっても△△のひとつとして許容する」という守り方を、「○○を示す限り△△として多様性を許す=○○が無ければ△△として認めない」として反転させてしまうとただの檻になってしまう。これが現実の人間に対して適用されれば「我々と同じことを示すならその中での多様性を認める」となる。
今回は、「どんな"多様性"でも同じストーリーラインを辿ればスパイダーマン」として、「運命」を定めていた。スパイダーマンはクモに噛まれ、身近な人の死を経て孤独なヒーローとなる。スパイダーマンの気持ちを理解できるのはスパイダーマンでしかない*2

2番目について、「じゃあどんな属性でも認めて受け入れるって言うのか、そうしたら今まで積み重ねてきた(伝統が/法則が/お約束が)めちゃくちゃになってしまうじゃないか」という言葉を想定する。多様な属性でアレンジしても、なお残るものがその役割や作品におけるアイデンティティじゃないかね。

3番目について、1番目との関連で言えば「だって女はセクシーで男の主人公と良い感じになりつつラストへの盛り上がりのために途中で死ぬでしょ」みたいなことね。「必要な死」って、外側から決められてはならないねという声を強くそれはフィクションにおける「冷蔵庫の女」もそう、現実において誰かが死ななければ裁判が始まらない現実もそう。
現実にある属性を持ったキャラクターを、その属性であるというだけで殺さないで欲しい。いい加減飽きている。楽しく見ているのに、そのために殺されたなと思うと残念な気持ちになる。もっと表すなら、キャラクターとしての魅力・死を迎えるまでの展開での描き方(描かれる量の多寡ではなく)による納得よりも、「その属性だから」で展開を選択したかも?という憶測が勝つかどうか、ということだと思う。

これ以上考えると、作品の感想から脱線して、社会的な考え事になってしまうのでここまで。

スポットを演じる鳥海さんも、初めの気弱な感じからどんどん気が大きくなって不自然に声が上擦っていくお芝居を聞けてよかったですね。

後編も楽しみ。

*1:あれ反射で対峙する警官もちょっと照らされてたの面白かったな

*2:ソサエティの中でカウンセラー側もスパイダーマンだったのがギャグかつその表現というか

映画感想大掃除2020(5本立て)

今年もぼちぼち映画を観ましたが、Twitterよりはもうすこし文字数多めに感想書きたいなと思いつつ、ちょっとタイミングが無くて置いていたものがいくつかあって、年末でやっと時間が取れたので記事にしてみました。
時系列順に並べてます。

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ニートエスティ 彼女達の選択

(2020年2月 2017イギリス)
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原題は"DISOBEDIENCE" =「不服従」。聞き慣れない単語ではあるし、女性ふたりが街や家族への関わり方を模索する物語だろうからこの邦題でいいかなと特に深く考えていなかった。
でも観終わったあとでは、逆に邦題が「女性ふたりの物語」を強調してしまったことで、この作品に欠かせなかったもうひとり、「不服従」を選んだ人物を覆ってしまうようでちょっと勿体ないなと感じた。

舞台はイギリスにある厳格なユダヤコミュニティ。ロニートレイチェル・ワイズ)は、父親が地域のラビ(宗教的指導者)であり、幼なじみエスティ(レイチェル・マクアダムス)との若き恋が赦されず、ひとりニューヨークへ飛び出したきり実家との連絡を絶っていた。
カメラマンとして自立したあるとき、父親が突然病死したと聞き、ロニートは帰郷する。再会したエスティは、次期ラビと噂されるもうひとりの幼なじみドヴィッドと夫婦になっていた・・・。

このイントロダクションを聞いて、おお女性ふたりの関係性ですなと鼻息荒くなったんだけど、この作品においては、ふたりが再会し燃え上がった恋情というのは、コミュニティが厳しくふたり(そしてもうひとり)を縛り付けていることを示すひとつの要素にすぎない。

このコミュニティでは宗教の教え、社会の規範・掟がすべて。女性は戒律を守り夫を支える子どもを産み育てることが役割。ちょっと夜道でイチャイチャしてるのが見つかるだけで次の日「おたくの教員がふしだらなんですけど!」とタレコミが入る社会です。神様からの戒律が苦しいのではなくて(戒律が元とはいえ、)周りの人間たちの目や口が、彼女達が自由に生きることを許さない。

ここからは後半のネタバレになるのですが。

思いを通じ合わせた後、エスティはロニートから「着いてきて」と駆け落ち同然のことを勧められるんだけど、すぐにはイエスと言わないのよね。
恋情のまま彼女について行っても、それは従う存在を宗教からロニートに替えるだけにすぎない。

エスティは「本当に自分は何をしたいのか」と考えはじめ、自由について考えて「自ら」行動し始める。そのうちのひとつが、夫ドヴィッドにロニートとの関係を暴露することだった。
「あっ自分から言っちゃうんだ」って意外だった。ドヴィッドはずいぶんショックを受けていたけど、*1エスティは愛さずとも彼を尊敬しているからこそ隠しておきたくなかったんだろう。

そしてまた、この暴露によって、ドヴィッドも深く迷い始める。次期ラビとして宗教コミュニティの中心に据えられることを、このまま受け入れて良いのか。若くして宗教指導者になれるということは出世の最高峰であるけれど、そこへ行ったらもう自分の自由意志は消えてしまう。男性であるドヴィッドもまた、このままではコミュニティに流されてしまう。

(略)そしてこの、彼のスピーチを見守る妻に「君も自由だよ」と叫ぶ。超正統派の人々の前で型破りなスピーチをするドヴィッドこそ、この作品の隠れた主役だ。
広瀬佳司(パンフレット内コラム)

一見すると間男と思われてしまうけれど、最後まで観ると物語におけるドヴィッドの重要性が大きくて、これを省いてしまった邦題の「女ふたり関係性感」はちょっとミスリーディングだよなあと。だからといって名前を3人並べろというわけでは無いんだけど。
この物語は、ロニートエスティとドヴィッド、同世代の3人がお互いに影響されて、コミュニティと改めて向き合い、信条や社会の掟とどう関わるのか考え行動する姿を描いている。
だから「彼女たちの愛がどこへ向かうか」が主題なのではなくて、「彼女達が自分の意思でどこを選ぶのか」が主題なのだと思った。

どんな場所に居ても、どんな外からの圧力があっても、心の中で「不服従」を選ぶことができれば、ひとはひととして生きられる。

神や世間や家族に魂のあちこちを掴まれているロニートエスティは、今にも抑圧に押しつぶされてしまいそうに弱く見える。けれど、それでも服従しないことを選ぶことができるのが、人の人たるゆえんで、強さなのだ。
(中略)
そんな中で、80年代の終わりにヒットしたThe Cureのその名も「Love Song」だけが場違いなほど高らかに鳴り響く。君といるときだけ故郷にいる気分になれる。どんなに遠く離れても愛している・・・・・・という歌。神様が本当に人間を創造したのかどうかは知らないけれど、人間は愛を歌うことができる。
王谷 晶(パンフレット内コラム)

最後の方で、ドヴィッドがロニートエスティふたりをいっぺんに抱きしめて、ふたりも一緒に抱きしめ返すシーンがあって、すごくいい画だった。立場や考え方は変わってしまっても、同じ時間を過ごしてきたお互いを思いやりたい、選択を尊重したいという幼なじみ3人の気持ちが伝わるいい姿だった。

あっベッドシーンは猥雑で良かったです。*2
大好きな「キャロル」は逃避行のさなか、音楽も乗ってとてもロマンチックに描かれていたけど、こちらはほぼ無言でお互いの欲望をぶつけ合う。無機質なビジネスホテルの白いシーツが猥雑に乱れるのが逆にセクシー。というかマクアダムスのお顔マジうつくしい。人妻のいけなさが、どうにも、どうにも。


あと感想書くためにパンフ読み返したら最初の見開きページに「美しき純愛」がバーンと大きな文字で来てたんですけど、ちょっとさすがに別の紹介文無いのかよと思った。
特別な間柄で交わされる感情を美しいとか他人が評するのはもう難しいと思うし宣伝でそういった言葉を使われてもふーんとなってしまう。純愛ってなんだよ。

ハーレイ・クインの覚醒 BIRDS OF PREY

(2020年3月 2020年アメリカ)
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原題は「Birds of Prey (and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)」「バーズオブプレイ(と、とあるハーレイ・クインの素晴らしき解放)」長い、けど好きな感じのタイトルなんですけどね、公開後検索性が悪いからって米国ではタイトルを短くしちゃったみたいですね。気持ちは分かるが勿体ない。
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』米国でタイトル変更の動き ─ 複雑な原題、SEO対策にも | THE RIVER

いや~~~~よかった~~お互い悪態つきながら一緒に戦う、ろくでもない女たちのドンパチムービー!所謂ポップコーンムービーと呼ぶようなくだらなくてスカッとして「あー面白かった」しか残らない映画。
映画館を出た後でいろいろ残って考える映画も大好きですよ、でもね、女たちが出る映画が「考えさせられる」もっと言えば「高尚な」作品ではなくてはいけないと誰が決めた。

特に言及されないけど、ハーレイが劇中でつぎつぎ靴を(盗んで)履き替えていくんですよね。どの靴もかわいくてついつい眺めてたんだけど、時に女にとって、靴って否応なく役割を示されたり窮屈なもので。
それを惜しげも無く脱ぎ捨て、気分次第で新しく掴み、また放り投げる。最後には走るために裸足になって。
ハーレイははじめジョーカーにべた惚れで、振られた後まともな生活ができないくらい落ち込んでいたんですが、逆に解放されたと気持ちを切り替えて、自由になって好き勝手やり始めるんですよ。そのストーリー構成とハーレイの気ままさが足元に表れているんだなあと思いました。
ハーレイの、善にも悪にも定まらない自由さがとても魅力的で、良いキャラだなあと。キラキラメイクがかわいいのよ。
この世には光も闇も無いんですよ。聞いているかNo.6*3

時期が悪かったので映画館で観た方も少ないとは思うんだけど、ロードショーでも全然大丈夫な内容だし、基本スカッとするので地上派とかで流して欲しいなあ。

ダンサー そして私たちは踊った

(2020年3月 2019年スウェーデンジョージア・フランス)
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ジョージアには伝統と国民性の規範とされる3つのものがあります。
教会、多声音楽、そして民族舞踊です。
(略)
私はたくさんのダンサーに取材をし、ジョージアのダンス界に保守的で厳格なジェンダー規範があることを聞きました。そこでストーリーの舞台をダンス界にしたのです。
ジョージア舞踊は”古さ”を象徴し、ふたりのダンサーの間に芽生える愛は”新しさ”を象徴するものです。
(略)
若いLGBT+の人々の苦難のストーリーを語りながらも、その背景にあるジョージアの歴史や現在の状況を見せたいと思いました。
この映画は、あまり知られていない地域を舞台にした興味深い作品というだけでなく、自由であることの大切さが描かれています。
(パンフレット内 レヴァン・アキン監督コメント)

力強くアクロバティックなジョージア舞踊の映像に惹かれて観た作品。遠くよく知らない国という印象だったジョージア(旧表記グルジア)の古くから続く美しい町並みや若者の暮らし、そしてその文化から強いられる規範を知る機会になった。ジョージア語の耳に新しい発音は新鮮だった。

主人公のメラブ(レヴァン・ゲルバヒアニ)は国立舞踊団に所属し、幼なじみのマリとダンスパートナーを組んでトレーニングに明け暮れている。ある日圧倒的なダンスの技術と魅力を備えたイラクリが舞踊団に現れ、オーディションのための練習を共に行いながらメラブはだんだんと彼に惹かれていく。

メラブとイラクリの恋愛を発端に、ジョージアで「男らしさ」「女らしさ」から抜け出すことの困難さが次々と描かれる。メラブが伝統的で美しい舞踊だけではなく、自分の感情を爆発させるようなでたらめな踊りをして、審査員から冷ややかな目を向けられる後半のシーンも象徴的だ。
実際の撮影中も邪魔が入ったり、同性同士の恋愛が描かれていることを理由にジョージア正教会から上映中止を求められたり、困難が伴ったことがパンフレットで明かされている。

受け継がれてきた踊りや音楽は今なお美しい。暮らしを守るためには、これまで積み重ねてきた規範にもちゃんと意味がある。
けれど、なにか新しいことを選ぶひとへ呪縛になってしまう規範や伝統は、保つだけでは無くて緩やかな選択肢を許すようにならないだろうか。


3月。幸運にも近場の映画館でやってくれたから観られたけど、本当だったらいろんなミニシアターでちょこちょこやって欲しいな。満員は望まないけど、広く広く伝わって欲しい。
秋頃よく似た衣装を着た人々のダンス映像がバズっていたので、豪快に音を立てて着地する独特のダンスに見覚えある人もいるんじゃないだろうか。

メラブを演じたレヴァン氏は本業がダンサーなんだけど、とにかく踊りが美しい。顔が少年のようであどけないながら、衣装を脱いだ後の身体がグッと色っぽくていい。

あとポスターのこの印象的なポーズを撮る瞬間をみんな観て。こんな伸びやかで力強い反り返り!!美しい。どんな筋肉してるの。
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博士と狂人

(2020年11月 2018年イギリス・アイルランド・フランス・アイスランド
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オックスフォード大英辞典を編纂するお話。ベストセラーのノンフィクションを基に、メル・ギブソンが構想20年で監督・主演を務めた作品。

辞書を作るお話といえば邦画・三浦しをん原作『舟を編む』がありますが、あれは既にある辞書の改稿、追加のお話ですね。
あれも10年単位の大きな仕事を描いているのですが、対してこれは「今使っている言葉が全部入っている辞書をゼロから単語を集めて作ろう、しかもシェイクスピア以前から現代まで語源や用例変化もまるっと入れよう」という、途方も無い規模のプロジェクトなワケです。ゴールへの道のりが遠すぎる。

わたしは推している辞書と辞書編纂者がおりまして。新明解国語辞典を編纂されている飯間浩明氏です。*4辞書関連・ことば関連メディアにもよく出演される方で、なにを隠そう『舟を編む』では監修を務められ、この『博士と狂人』ではパンフレットに辞書編纂の内容について寄稿したりPRイベントに出演されたりしています。


その流れから興味を持って観に行ったのですが、時間もお金もかけられた作品だけあって、お話も、19世紀の建物たちをまるっとセットで作り込んだ映像も、壮大なテーマが何度も使われる音楽も、どれもよかったねえ・・・。足を伸ばして観に行った甲斐があった。
ただ、のちにパンフレットなど読んで知ったのですが、この作品は撮影時に制作会社とメルギブソンたちが揉めたことをきっかけに裁判が起き、またメルギブソン自身が元々暴力問題を起こしていることなどが要因でアメリカ本国での関心と評価が低いんですね。見終わって満足感が高かっただけに、こう外部要因が多いと勿体ない気持ちになる。

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"THE PROFESSOR and THE MADMAN"
このタイトルを回収するシーンが良いんですよ。
辞書編纂を主導するマレー(メル・ギブソン)と精神錯乱のために殺人を起こし精神病院に居るマイナー(ショーン・ペン)。
素直に考えれば「博士」がマレーで「狂人」がマイナー、なのだけど、一方で私財と時間を投げ打ち長年の夢であった辞書編纂に没頭するマレーは、しばしば作中で変人扱いを受けるし*5、マイナーは精神が落ち着いているときは軍医であったときの判断力や技術を活かして看守の命を救い、また恐るべき知識量と聡明さで、獄中から辞書のための単語をマレーに差し入れる。そしてマレーは独学で14の言語を学んだ(!)ために辞書編纂者に抜擢されながら未だ学位を持たず、マイナーは逆に医学博士としての過去がある。

博士と狂人が重ね合わさったふたりが、恐るべき偶然によって出逢い、ことばを求める喜びを共有する。ようやく正体を知り直接話すことが叶ったふたりは、「言語オタクしか分からない難解珍単語」のキャッチボールして散々キャッキャウフフしたあと、「賢者と狂人、どちらがどちらだ」と冗談を言う。ここ!!!めーっちゃ幸福!!!

自分の積み重ねてきた知識をいくらでも受け止めてくれて、かつ同じだけの知識量を傾けてくれる相手は、接する時間の多寡関係なく、もう生涯の友ですよ。それに出逢った喜びが、あのシーンには溢れている。*6

辞書が無事完成するのか、また2人の友人の行く末がどうなるのか、最後まで見届けると満足感の高い内容でした。

仕事に没頭する話って家族を置き去りにして不和になるパターンあるあるだけど、この作品ではそんなことも無く、マレーを愛情深く見守る奥さんもめちゃかわだったのだよな・・・。クリスマスの夜まで辞書づくり用のほったて小屋に籠もるマレーに怒るのでは無くて、窓に雪ぶつけて「雪合戦しようぜ!」って子どもと駆け込んでくるところとてもユーモアが感じられた・・・。

19世紀イギリスの町並みも衣装もみんな素敵だった、フロックコートやらドレスやら・・・眼福でした。


(おまけ)鬼滅の刃 無限列車編

(2020年10月)
いやあ~~気持ちよかったですね。何が?平川大輔石田彰さんの声を2時間聞いたことですよ。5万円くらいの価値がある。

うっとり、耽溺、不気味、甘やかすような優しい声、これらは平川さんの十八番だと思ってるし平川さんにいちばんやって欲しい声。多分平川さんは日本で一番「色欲」と名の付く役をやっていると思う。
サディスティックに相手をいたぶる快楽に、思いっきり身を委ねて愉悦に浸るキャラクター。平川さんの右に出るものはない、と思うくらいそのテのお芝居がとても上手い。サド演技って、うわべだけをなぞってしまうとちょっと心が離れてしまうのだけど、平川さんの声は、もうとにかく技術の塊。けだるい囁きから、相手を陥れる快楽をひたひたと楽しみ、やがて来る歓喜の瞬間に上擦った声、相手を惑わす声音。

でも演じている役は多いにも関わらず、ひとつの作品から少ししか聞けないんですよ*7。つまり贅沢、いわばトロ。

そのトロを、1時間以上もたっっっっぷり聞けたわけなんですよ。港仕込みのデカ盛り海鮮丼ですよ。ありがとう鬼滅。アニメ最終回から楽しみにしててよかった。

ねんねんころり、こんころり…鬼がいようとこんころり」とか「もう起きちゃったの?まだ寝ててもよかったのにぃ」とか、饜夢のセリフで就寝前・起床時になるアラームが欲しい。聞いて仕事行きたくなくなりたい・・・・・・。
ゆっくりねちっこく話すのすごくよかったね・・・5年分くらい平川さん成分吸収した。

列車が止まった辺りで「あー堪能した、よかったありがとうアニプレックス」と拝んでいたのに、そこからまだおかわりが来るなんて、なんて。
アニメあるある、声優好きあるあるといいますか、キャストを知らない状態で第一声を聞いて「アッこの声聞いたことある!誰だ!」って海馬の中すごい勢いで検索している瞬間は、シナプスばちばちに信号通ってる感覚がして生きてるって感じ。
まさに、猗窩座が喋った瞬間脳内ばちばちでしたね。遠い昔に聞いたことがある、高いトーンなのに深みがあり朗らかながら奥に寒々しい空洞がある声。
次で石田彰だと分かったときはもう、気絶するかと思った。いっぱい喋る平川大輔の次にいっぱい喋る石田彰?!??!大トロ海鮮丼食べた後にウニといくらが「はいどーんどん♪」って盛られたようなもんですよ。痛風になってまう。
ほんと・・・よかったですね・・・ゲストに惜しみなくベテラン声優を持ってくるの、アニメーションの重さに合ったお芝居を乗せてくれる信頼がある。

あと饜夢に従っていた子どもの中で、結核にかかっていた子の江口拓也さんのお芝居良かったです。叫んだりクールな演技多かったりなイメージ強い江口さんだけど、人生に絶望してぼそぼそと話す演技好き。

あ、あとやっと声の感想から離れますが、最後に炭次郎たちがぼろぼろワンワン泣くのが結構意外で、かつとても良いなと思って。珍しくない?歳の大きい男の子が外であんなに泣く描写。
大人も子どもも男女も関係なく、泣くときは泣く。すぐには受け止められないことを、とりあえずはみんなで寄り集まって泣く。
普通の人より遙かに強い彼らでも人前で泣くよ。と描いていたのはいいなーと思った。

高校の古典の先生が「平安時代の男は良く泣いたんですよォ!綺麗な風景見たり恋愛のことですぐ泣いた!『男泣き』という言葉もありますからねぇ」と授業中に言っていたのを思い出した。男は我慢して耐え抜く、というのは戦時中の教育結果とも。
もしキッズが「炭次郎はすぐ泣いて弱いな」と思ったとしても、これを当たり前だと思ってくれて、のちのち苦しいことがあったとき、炭次郎を思い出して周りの人と分かち合い生き延びてくれればいいなあと、架空のキッズを思ったりもした。

2020年劇場で観たかった作品

  • ジョジョ・ラビット
  • はちどり
  • カセットテープ・ダイアリーズ
  • グッバイ、リチャード!
  • 幸せへの回り道
  • スパイの妻
  • ウルフウォーカー
  • 燃ゆる女の肖像
  • 魔女がいっぱい

結構見逃したな・・・。何かの機会に追いかけようと思うので備忘録的にメモ。

漫画のジャケ買いの感覚で映画を観に行くので、ポスターとあらすじだけでわざわざ足を伸ばして遠くの映画館まで行くことも(普段は)苦では無いんですが、ポスターがシンプル・人物がふたり並んでいると興味が湧く、という自分の傾向にぼちぼち気づきました。


年内はあとはどうだろう、今年はハーレイから始まりワンダーウーマンで終わる年、という気持ちになりたいから1984も観に行きたいのだけど150分あるんだよな・・・。仕事始めまでにチャレンジしようかな。

来年もぼちぼち感想が書けたら良いですね。

*1:次期ラビ候補になるんだから彼は敬虔な信者なのだし

*2:鼻息荒くして観に行ったのでなんだかんだ言及する

*3:ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀をよろしくお願いします

*4:好きポイントは語ると長いので割愛。Twitterを駆使して語収集を盛んにされていて、読んでいると語彙への興味がむくむく刺激されます

*5:スコットランド生まれだったためにオックスフォード大学の同僚から田舎者扱いをされる

*6:俗的に解説すると、いい年したイケオジふたりが公園のベンチで周りを置き去りにするオタク話早口でかまして「オレらめっっっっちゃオタクだな!!!!!」って笑い合っているのですよ

*7:どSとかフェチキャラとかもそうなんですが、言葉責めする役って作者の語彙に性能が左右されてしまう。セリフがついテンプレ化しがちで、それを防ぐためにすぐに退場したりデレてキャラ変したりする。

10/3 NIGHT OF THE ZOMBEAVERZ ~胎動篇~ 

放置していたらいつの間にやら季節が一巡りしていましたが、さも続きのように何食わぬ顔で更新しましょう。


はてさて楽しいことがあったから書くよ!書いて覚えておいて、楽しい気持ちになりたいときに自分が読み返す用だよ!

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3月のゾンビーバーズライブぶりのPAPERMOON。わたしはずっとここのお酒が飲みたくて仕方なかったんだ・・・!


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(プライバシー配慮で愉快なスタンプをつけています)

誰でも安心して参加できるように、入る前はちゃんと手指消毒して、検温して、アマビエちゃんである。*1
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チャリティーステッカーもキュートだ!

お客さんは自分も含めて10人くらい。知らずにPAPERMOONに来てこの奇祭に巡りあった方も居て、いったいどんな気持ちでカウンターから聞いていたのかな。


1.今からでも間に合う!まだ数巻しか出てない漫画特集(阿G)

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初手阿Gさんって安定感あってホッとするなあ。
軽快な語り口で『恋するワンピース』『アンデッド・アンラック』『忍者と極道』を紹介。これが布石となってあちこちのテーブルでジャンプ漫画の話に花が咲いていて愉快だった。

今回気になったのは『アンデッド・アンラック』。「次にくるマンガ大賞2020」で受賞していて噂は聞いていたけど、そんな、作者にモザイク芸のこだわりがある作品だったなんて・・・。主人公への愛がだいぶ極まってるじゃないですか。

阿Gさんの解説はちょくちょく挟まる小ネタが秀逸なのだけど『忍者と極道』独特のルビクイズにはめちゃくちゃ笑った。「二重唱」はもう、作者の発想がずるいよ!

[第1話]恋するワンピース - 伊原大貴 | 少年ジャンプ+

[第1話]アンデッドアンラック - 戸塚慶文 | 少年ジャンプ+

忍者と極道 - 近藤信輔 / 第1話 忍者と極道 | コミックDAYS


2.LIVE(MEZ&凜)

凜さんが出るライブも、PAPERMOONでのライブも、観るのが本当に久しぶり。
すぐじゃなくても、賑やかになったいつかに、そんな機会が芽を出すだろうと思って気長に待つつもりだった。
でもいざその朗報を聴くと「半年以上だよ!!めっちゃ待った!!!」ってワクワクしちゃったな。
ワクワクしすぎてめちゃくちゃ配信にあほ客の声入ってて申し訳ないです…ライブ中飛び出てる声は大概わたしなので、あの、ごめんなさい……。


お兄さんお姉さんの教育のたまもので、すっかりPAPERMOONで振るサイリウムの味を覚えてしまっている。
今回キンブレ持ってきたのは自分だけかもな、と思いつつカバンから取り出すと、なんと隣の友人もニコニコ顔でキンブレを光らせていた。
「まるゆきさんが来るなら絶対サイリウム持ってくると思って、わたしも!」って言われた。読まれている。ひとりでも全力で振るつもりだったけどありがとう。

アタマの「NIGHT OF THE ZOMBEAVERZ」からもう最高すぎた、ああこれ久しぶり!って脳に幸福が沁みる。先月のフトイーズさんレコ発でのMEZさんのライブも愉快で良かったのだけど、凜さんと二人でやる曲はもちろん久しぶりだし、ソロの曲も凜さんが違う音色を重ねるのでぐっとライブの深みが出る。
MCでお客を構ってくれるふたりの姿を見られることが本当に嬉しくて、悪ふざけたくさん投げてたんだけどあれですね、酒が抜けたらなんであんなに蟹コールアンドレスポンスしてたのかさっぱり分かりませんね。蟹!語彙!*2


ラスト曲、冬のユメノアリカさんラストライブで聴いた新曲がですね、大好きなんです。本当に大好き。
そのときの水戸SONICの照明はとても賑やかで、じわじわと盛り上がるイントロに合わせてカラフルに光量が増していき、いちばんの到達点でとどめとばかりに差し込まれた強烈なネオングリーンと二人のシルエットは、今でも脳裏に焼き付いている。
その、メロンソーダみたいなぱちぱち明滅する光とエモいテクノが完全に「好き」で結びついたので、曲の内容には関係ないけどサイリウムは緑にしている。あの時もノリが良いお客さんが周りにたくさんだったからばちばちに揺れるの楽しかったけど、欲を言えば客席もライトの海にしたかった。
曲もずっと楽しい。一緒に飛び跳ねたいし一緒に唱えたい歌詞がたくさんじゃないですか?*3

ちなみにMEZさんへ「大変エモかったです」と感想を伝えたところ、この曲の正式タイトルが「てぃろりん☆でぃあまいでいずっ!」と聴いて衝撃を受けたところまでがワンセット。


3.夢の国の海の方特集(ゴライfeat.めず)

他の誰も見たことがない世界の真実を間近で見てきたように語る、ゴライくんのトークスキルがまたギアチェンジしていてすごい。会場みんな「分かる~夢の国行きたい~」と「分からん~~何処の時空~」を交互に繰り返してた。サウナの交互浴みたいなものかな。整う!
途中10分くらい世界の真理a.k.a妄言の時間があってもはや脳が幸せだった。ここまでくると「語られた内容を現実のものと誤認させる」っていう異能力なんじゃないかな。

前々からちょくちょく聞いていた、最強に楽しいアトラクションのストームライダーが「魚のなにか」になってしまった話も秀逸だった。
社会人になるまで夢の国エアプ勢だったので、みんなが惜しむストームライダーに逢えてなくてもったいないなあと思いつつ楽しんでたけど、ゴライくんが憤慨するあまり出てきた「(魚のなにかに)換えたヤツ出てこい!俺と相撲で勝負だ!!」が今回あまりにも好き。

#ストームライダー返せ


最後に会場に来た人へ限定プレゼント!じゃんけん大会を勝ち抜いた猛者にそれぞれ贈られましたよ。

・阿G→紹介漫画たちの第1巻
・めず→スライムのおもちゃ
・ゴライ→夢の国特製のお菓子

ちなみに私も勝った。



エクストラステージ

ゆるゆるとマンガの話が聞けて楽しかった〜

最後まで、なぜ今回トイガンが導入されたのか、ゴライくんを止めるのに有効な手段だったのか、全くわからなかった……語ってる時の彼は無敵状態なんだな。


終了した後はのんびり居られるだけお喋りしていてこれもよかった。残ったお客さんと演者交えて最近読んで面白かったマンガを紹介しあったりだらだら性癖を開陳したり……最近本屋行ってないなあ、またしこたま買い込みたいなあ!


この日やっぱり、生身で楽しいことを受け止めるのっていいなあって思いました。久しぶりにたくさんお喋りして爆笑して、酔いと疲れが乗っかって最後テーブルで寝落ちしかけていた。それくらいはしゃいでいた。

みんなで定期的に禊がしたいよ!
美味しいご飯お酒、普段着ない服に会わない知り合い、楽しい音楽に世界の真理。人間のかたちを保つには絶対社会的な皮を剥いだ場での馬鹿騒ぎが必要。
みんなが生きてることをいろんな形で確かめながら、ひとりの部屋で深呼吸をしながら、またざわめきのなかでサイリウムを掲げられるように。

今に楽しさを見出せなくとも、過去の楽しい残滓を啜ってでもいいから、とりあえずその時までいきましょうね。というやつである、自分への祈りである🤞

v(^^)v<カニ!!

*1:県外の先輩も連れて行ったら、初見のアマビエちゃんに怪訝な顔をしていた。我々県民もネーミングにはずっと怪訝ですけど、でも空メールによるメーリス登録システムって、メルアドさえあればいい簡素なつくりだから案外無くならないね。

*2:配信画面からは見えないけど「蟹〜!」のときは客も一斉に✌️(^^)✌️わきわき手を動かしている、のでMEZさんが異様に怯える構図となっている

*3:機会があればゾンビーバーズ以外のMEZ凜のライブも観に行ってるけど、他のバンドにお呼ばれしてるときは当然初見さんが多い。そこを曲の面白さ(愉快さと技巧のどちらの意味でも)でクリアしていくMEZ凜も観ていて楽しいんだけど、でもでもやっぱり、曲を知っているお客さんが多いところで、覚えてるコーレスしたり飛び跳ねたり、揃ってはしゃぎたいなあって思う。ゾンビーバーズのナンバリング回はだから、すごーく楽しい。

9/25 『マティアス&マキシム』モヤモヤ感想

「マティアス&マキシム」2019年カナダ

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『たった一度の戯れのキス。そして溢れ出す、君への想い』

舞台はカナダ・ケベック
2週間後のオーストラリアへの出立を控えるマキシム(マックス)と、カタい仕事と婚約者がいるマティアス(マット)。幼なじみふたりは悪友の家で賑やか*1なパーティーに参加するが、そこに居合わせた友人の妹から自主制作映画の代役を頼まれる。
罰ゲームで引き受けたふたりだったが、キスシーンを撮った次の日から、急に様子がおかしくて・・・。

というあらすじ。
30歳幼なじみ、キスから始まるロマンス。なるほど!
情報を見つけたときから気になっていて、いそいそと観に行ったのですが。


うーーーーん、?親愛と劣情と友情の狭間のロマンスを期待していたのですが、それ以前に、ストーリー展開がよく分からなかった……。


チラシにあったとおり「全編に響き渡るピアノの旋律、柔らかな色彩と光で織りなすまばゆい映像が、登場人物たちの言葉にできない気持ちを物語っている。突如芽生えた感情、溢れ出す愛おしさ、触れたい衝動、追いかける眼差し、誰かを好きになることの切なさと歓び」がある、といえばそうなんですけど……え、あまりにもお互いの感情を言葉にしてなさすぎる。言語化が下手な男か?ロマンスはどこから来てどこへ行くのか……?


冒頭のキスをきっかけとして、親友であり幼なじみであったお互いに向ける感情が急に揺れはじめたのは伝わってきたけど、その後ぶつけ合ったり外に相談したりするシーンが無くて、そもそものふたりの関係も、考えていることも、どう進めたいのかも分からない。感情を具体化するセリフが出てこなかった。

感情すべてをセリフにして説明しろ、という気持ちではなくて……観客が想像するに任せるという投げかけの作り方だとしても良いと思うんですよ。でも、ふたりの揺れ動く感情を、行動の理由を、観客が想像するにはあまりにも材料が無い。
なのでノリきれなかったです。映像も綺麗で、挟まれる音楽も透き通ってすてきだったんですけどね。

評をいくつか読むと、ストーリー展開の中での感情の起伏について結構具体的に描写していて、えーラブを勝手に読み取りすぎでは?と思う。*2
あと公式サイトにある芸能人からのレビュー、みんな言葉がふわっとしてますよね……ねぇやっぱりそうだよね…?



予告は上手に編集してて「そうそうこういうのが観たい」と大変気持ちが盛り上がるのですが……なんか…本編を観た印象と違うよな…


これが感想のすべてではあるので、ここから下の文章はぐだぐだ「ここにこんなのが欲しかったなぁ~~~」ってゴロゴロしてる文章です。ネタバレ込みですので暇な人だけお付き合いください。
話題になって(しまった)広報についてはラストにちょこっとだけ記録してます。*3

アッあと待って、マティアスの仕事相手として途中から登場してきた破天荒弁護士マカフィーさんことハリス・ディキンソンが作画良すぎてビビった。

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えっほんとに三次元か?欧米に良くあるホームコメディー風のイラスト広告にいる感じの作画ですよね???脚だけで2mくらいある。
英国ネクストブレイク俳優で、今度のキングスマンにも出るらしいですね。
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まごうことなき英国顔〜〜〜〜〜〜〜


  • 「きっかけのキス」の理由

何があったら良かったんだろう、って一日モヤモヤ考えていたけれど、「なんでキス一回くらいで「秘めていた互いへの気持ち」が呼び起こされたのか?」っていう「きっかけのきっかけ」が描かれて欲しかったのかな。

とっかかりになりそうな設定は描かれてる。
映画の代役をする二人を面白半分に覗きながら、「ふたりは高校生のころ一度だけキスしたことある」って悪友たちが思い出話をするんですよ。
「有名な話だよ」
「え、でもさっきマットはやってないって」
「お前本気?どこまでバカなのさ」

本人たちを抜きにして悪友たちは無責任な噂話をする、え、それってつまりどういうこと?ってちょっとソワつくこちらを無視して、以降その話題は出てこない。
え、少ないセリフから整理するに、高校生の頃キスしたことがあるって周りに知られている、かたやマットは記憶に無いと言い、かたやマックスは否定も肯定もしない。
エーーーーそれ使ってよ!!
それだけで、かなり現在の関係に影響してくる設定じゃないですか???その過去を掘り下げるちょっとした回想入れてほしかった。
それだけで「あー若い頃はお互いべったりだったのね」とか「思慮深いマティアスのほうがマキシムに執着していたけど、今は婚約者がいるんですね」とか「ママと上手くいっていないマキシムがマティアスに寄りかかっていたんですね」とか、とかさ!!!現在のふたりの立ち位置を観客が勝手に想像しますよ!
情緒が不安定な高校時代と若干落ち着いた現在30歳との対比というのが、簡単にできる設定の説明だったんじゃないかなーとか思う。水が高いところから低いところへ流れるように、感情だって強い側から弱い側へ流れ込む、その流れの強さ太さを観たいんですよこちらは!

ロマンス漫画では感情の揺れ動きの描写がメインディッシュで、そのための感情の原因となるエピソードが導線として用意されていることに慣れすぎていたのかな…。

故郷からの旅立ちを目前にして、若いときの淡い思いが蘇る…なんて、ベタだけどいいよね。うっすら導線が見えるからこそ、ハッキリ導いて欲しかったな。

  • 「想いを確かめたキス」の先が…?

「きっかけのキス」をした別荘パーティーから帰ってきてからは、マティアスとマキシムのそれぞれの生活と、不自然なほどすれ違うふたりが描かれる。
特にマティアスは葛藤している。昇進が噂されているような普段の仕事ぶりも、映画を撮った以降上の空だし、婚約者とハグをする表情も微妙。マキシムのお別れパーティーだってあまりにも心ここにあらずで叱られてしまう。

彼が、キスによって呼び起こされた感情と衝動によってマキシムの姿を自然目で追い、でも年齢と立場のせいで自分の心に素直に従うことはできずに、持て余して不用意に衝突してしまうのは分かる。

若かった高校時代だったなら、「あのときのキス」でこの感情に気づいていたら、マキシムが旅立つ直前でなかったら。
彼の中に意味の無いIFがぐるぐると渦巻いて、押しとどめようとするも止まらない。彼は突如訪れた雷と大雨の音に紛れて、パーティー会場の隅で再びキスをする。その情熱的な様は、想いよ重なって融け合えと必死に祈っているようにも見える

こんな風に、シーンの移り変わりから彼の心情の"想像"はできる。
だけど、あまりにもセリフが「なにも語らなすぎる」んだよな。ふたりの間のセリフがあまりにも少ない。
周りの友人たちも、なんだかふたりの雰囲気がぎこちないことには気づいているんだけど、「何が原因なんだ?」と取りなすこともない。あくまで遊び友達。
こういうときは、お互い行きずりの相手とか、バイト仲間とか、相手を知らない人間に相談して心情を吐露して欲しい。そうしないとこっちだって、視線だけで想像するのはなかなか脳みそにも限界がある。

さっき述べたシーンの、想いを確かめるキスの最中、マティアスがマキシムの脚の内側に手を滑らせ、応えるようにマキシムもマティアスのズボンのベルトを外す。
おや、思いを通じ合わせるのか!
と、ここで急に身体が離れた。あれだけリードしていたマティアスが、突然部屋の隅へ行ってしまう。

「僕たちは、語り合わなくちゃいけない」マキシムはそう呼びかける。出発の日を延ばすから、週末ふたりで過ごしたい。とまで交渉してきた。
そりゃそうだよ!お互いをなんとなく意識してぎこちなくて、急にまたキスだけして、このままオーストラリアへ行くなんてできない。デートシーンの到来でしょ!
と思ったけど、なんとマットは無言で部屋を去る。嘘でしょ。*4
せめて!そこは!断るなり受けるなり、応答の台詞があるでしょうよ!!!

もしかしてこれがIntroduction最後の「迫る別れの日を目前に、二人は抑えることのできない本当の想いを確かめようとするのだが――」の――部分ですか?!そんな、そんな拍子抜けありますか?!!!?

そりゃ、心情を想像/妄想はできますよ。
マティアスには婚約者もいる、昇進だってかかっている。セクシャリティの変化に戸惑い迷うのは当然、と想像できる。
マキシムの側から見ても、マティアスの手を引くことは彼だけでなく彼と周りの人間関係も一緒に崩してしまうかもしれない、と恐れる気持ちもわかる。
分かるけどさあ……何も言ってくれてないよ。

***

映画の代役でキスすることになって、そこから自分の感情に気づいた二人・・・旅立つ直前に、思いを告げるかどうか迷い、気まずくなって、衝突するも、雷雨の音にかき消される瞬間だけ堪えきれない思いをもう一度キスに託す二人・・・
結局、最後まで観てもこれだけしかわからんのだ。これ以降の展開もちゃんとあるんだけど、もっと心情が想像できないので、ネタバレ防止もこめて書かない。*5

彼らが抱えたのが「愛」に違いないことは、誰だって分かる。
けれどどんな「愛」を彼らは呼び起こし、「愛」が生じたことによる衝動と欲求をどのように持て余し、それらと立場や状況とを天秤にかけてどう処理しようとしたのか、これからどう向き合うのか、何一つ分からん。

長年続いていた関係を変化させたり、あえて保とうと堪えたり、「愛」をエネルギーとしていくらでも描写はできると思うのだけど……。監督の自伝的作品というから、ドラマティックな表現をあえて避けた結果なんだろうか。

恋愛において自分の恋心を解説することばなんて野暮で、視線が交わされて唇が触れあえばソレでもうアイラブユーになるんだよ、と思う方は多分私の主張と合わないので気にされなくて良いと思う。


他にも、シーンの大部分を占める悪友づきあい、この友情よ永遠に続け!みたいなのがピンと来なかったから加点が厳しいのかな。30歳でもずっと、親戚か幼なじみか5人くらいを中心に、たくさんの友人たちとずっとパーティーしてるんだよ?若いなあ……。
フランスの若者たちに詳しくないから、スラングや風俗にクスッとできなかったのかな。

作品全体としての印象は、強い減点があるわけではないんだけど、好き!と思って加点できるところがない、と言うのが正しいかな。


  • 日本版広報について

加点がないのにあえて書き残すかと言えば、この作品の日本版広報が、特異なことをしてしまったからです。

コラボ先作品については、原作も映画も観たことない。ので、テーマが近いのかどうか、というコラボの内容を考えることはできないけど、そもそもどんな作品であっても「別の作品と共通するところがあるからシーンをそっちのキャラクターに置き換えて描いてみました!」って、知名度を上げるためのコラボとして得策と言えるだろうか?

そして特に今回多く問題視されている点として、男性ふたりの恋愛を描く作品と、男女恋愛の作品との間で置き換えを行うことを無邪気にやったのだとしたら、あまりにも作品外の文脈を無視しすぎていないだろうか。
もっと言うなら、それに対する謝罪として「気づかなかったから」の線引きまでで済ませるのは、観に来ている客のひとつふたつ後ろにいるんじゃないか?


ファントムフィルムが配給する作品で思い起こすのは、コミュニティと恋情の選択を描いた『ロニートエスティ』、未見だけど邦画においても『窮鼠はチーズの夢を見る』を出している。
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「窮鼠~」は原作共に未見だけど、映画館で観た予告編はBLをことさら強調するような作りでなくてノンストレスだった。予告編作成が配給会社とどのくらい関係あるのか知識不足なのだけど、少なくともこういったプロモーションも無かったと記憶している*6
男女恋愛以外の作品を配給する割合も多い会社だからこそ、どうしてかなあと思ってしまうのだ。

私にとってピンとくるポイントがなかっただけで、『マティアス&マキシム』はとても真摯に撮られている。
二人のキャラクター、やりとり、眼差し、触れあわせる手。
恋愛と友情の間で揺れる二人を描くと同時に、アル中の母親を殴りそうになっては部屋に逃げ込んで自らを傷つけるマキシム、仕事の立場や婚約者を大事にする中で、若く好き勝手に暮らす悪友たちと別れるべきか悩むマティアス、それぞれの生活にある葛藤も時間をかけて盛り込まれる。
「若者からの脱却とその未練」、監督の自伝的な作品として感傷的に盛り込まれているのかもしれない。

この作品はありのまま映画館に置いて、気になった人に観に来て貰えればいいと思う。だから、観に来るべき相手に届くやりかたがもっとあるはずだ。あるはずだった。


あの広報(ないしはそれを取り上げた言説)によってはじめて作品を知った人がその印象に引っ張られてしまうのは勿体ないな。と思ったので感想を書きました。


同監督の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』観ようか迷ってたんだよな。というメモ書き。

*1:到着一番にマリファナで歓迎されるような

*2:君の名前で僕を呼んで』に衝撃を受けて作られた作品、という宣伝文句につられたのもあったと思う。あちらはかなり具体的なロマンスがありドラマティックにストーリーが進んで終わるからね。

*3:これ以外にも菅田将暉×最果タヒの朗読動画とか色々プロモーションやってるのね……およよ…

*4:○○ャ○○なの?

*5:雷雨の中のキスは宣伝の中でも公開されていますしね

*6:ちょうど今日(9/27)「窮鼠〜」側の公式配信イベントとして2つの作品を語る会があるようですね。やはりファンの共通性は意識されてるわけじゃん→ https://fansvoice.jp/2020/09/21/kyuso-mm-fvl-0927/

9/14 NIGHT OF THE ZOMBEVERZ ~残暑のトーク祭り~ 偏愛レポ(完)

先月の音楽フェスに引き続いて今回はトークだー!


いつ見てもPAPERMOONさんの看板はかわいい。今回もタイトルがポップでキュート!

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1.シャークネード特集(ゴライ&くつみがき)


「「シャーク!シャーク!!シャーク!!!シャーーク!!!!」」


もちふわのIKEAサメを抱えて登場です。なんとかサメ'sトーク席を座らせようと奮闘してるの笑った。

ゴライ「いつも一人なんですけども、一人っつってもMEZさんを傍らに置いてやっているんですけども*1、今回傍らに置くのがですね、大学からの友達くつみがきです」

風街同期の名コンビによる、満を持してのサメ映画話!!

ゴライ「『ジョーズ』を筆頭にどんどんどんどんエセサメ映画が作られていったワケなんですよ」
わたし「(似非なんだ)」
ゴライ「で、最近の似非サメ映画の中でもヒジョーに人気を博してしまった作品!」

『シャークネード』


ゴライ「2010年から作られて1,2,3,4,5、6まで出ちゃって、すげぇなそんなに作られてんなら、さぞかし1は面白いんじゃないかと思って我々観たんですよ」
「全ッ然そんなことない」

ゴライ「1がとにかくいちばんの壁なんです、シャークネードを観るにあたって」
くつみ「2からはすごいおもしr」
ゴライ「そう2からは急にクオリティがガッガッガッて上がってウワァすっげえ!ってなるんですけど、とにかくこの1の壁!を越えるっていうのがなったら、皆さんね!もし!この話を聞いてシャークネードが観たいってなったらとりあえず1をね!観る!っていう覚悟をね!決めてから皆さんシャークネードを観てくださいとにかく辛ぇ、ホントに辛い!!」

ここで、途中から文字通り傍らに置かれそうになったくつみがきくんから待ったがかかる。

くつみ「ちょっと待ってあのね…予想以上にいつものゴライと違いすぎて、いつも友達として話してるんですけど」
MEZ「あのね、わかるーー!!!」
くつみ「全然挟めない」

一瞬怯んだものの、その後持ち直しなんとかコメントを挟もうと果敢にゴライネードに挑むくつみがき氏。さすが同期食らいつくなあ!

怒濤のトークに情報をねじ込んだり合わせたり、瞬時に状況を判断する合いの手はまるで老練の餅つきを観ているようでした。
それにしても杵の勢いが鋭すぎるんだよなあ。一歩間違えば轢かれてしまう。

チェーンソー(主要武器)の必殺技である「海老反り切り」*2を傍らのIKEAサメで再現したり*3、フォトジェニックな一瞬があったり、とにかく楽しくトークの嵐を巻き起こして通り過ぎていったふたりでした。


ちなみにふたりが用意した『シャークネード』紹介のトークテーマは次の通り。

  • 無敵の主人公たちと命の安いモブたち

くつみ「基本主人公に逆らうとみんな死ぬ」
ゴライ「逆らうか、主人公に都合が悪いやつはだいたい死にます。この二つに当てはまったヤツはそそくさと雑にサメが空から降ってきてウギャー!グシャー!って死んじゃって終わりなんですよ」

くつみ「オレ好きなのが、2で出てくるモブのおじさんがチェーンソーいっぱい持ってて、チェーンソーを竜巻に向かってどんどんどんどん投げるっていう人が居て!一切台詞も役名もないのに!
ゴライ「ただ"チェーンソーを投げるおじさん"っていう」
くつみ「そうただ"ひたすらチェーンソーを投げるおじさん"」

  • 加速する超展開

ゴライ「途中からシャークネードがいろんなものを巻き込んでファイヤーネードだー!とかサンダーネードだー!とか出てくるんですよ」
くつみ「しまいには原子力発電所を巻き込んで『ニュークリアネードだー!』っていう」

ゴライ「そんな中で箸休めみたいに、農場で牛がウワァーって巻き込まれて」
くつみ「『こっこれはーー!!』」
ゴライ・くつみ「「『カウネードだーーーー!!!』」」
ゴライ「これ思いついたからやっただけだよね」

ゴライ「3で宇宙に行くんですけど、ふっつーに宇宙でサメが泳いでる
くつみ「なんの説明もなく、主人公たちも驚く様子もない」

  • (幕間)チェーンソーの進化

ゴライ「ローマ法王からもらったチェーンソーの十字架マークを押すとチェーンソーからヒュッヒュッヒュッヒュッて!ビームが出てきて!」
くつみ「そこら中のサメを一網打尽にするんだよね!チェーンソー全く関係ないよね、なんでローマ法王はあんなの持ってたんだろうね」

  • 感動のフィナーレ

6では時をかけて歴史のいろんなところで出没するシャークネードを倒す旅をするという。

くつみ「我々なんでそれをやっていくのか全く理解してない」

しかし怒濤の展開で見事シャークネードとの戦いも終局を迎える!

ゴライ「最後にフィン(主人公)の演説が始まってね、感動的な演説なんですよ!俺全然覚えてないけど*4
ゴライ「今まで1から6までずーっと追っていた身からすると異様な感動がなんですよ」
くつみ「そう」
ゴライ「なんで俺こんなにシャークネードで感動させられてんのか全く分からない!でももうちょっと泣きそうになってるウーンすごい!!」
くつみ「1の時点では想像も付かなかった」


ストーリーラインは何度聞いても「考えるな感じろ」な状態だけど、サメがありとあらゆるシーンに出没しすぎている狂った世界のディティールを聞いているだけで面白い。
「サメがいろんなところに良すぎて『水の中なら安全だ!』って飛び込んだ結果食べられちゃうモブ」とか「『降水予報』ならぬ『降サメ予報』がニュースの最後に流れる」とか。


しかしこの大人気B級映画、日本のみで映画館上映されてしかも最終作は4DXでやったとか、現地よりも愛され度合いがやばいな…少し前まではニコニコでも定期的に一挙上映されてましたしね。

ゴライ「6を俺はシネプレの4DXでMEZさんと観に行ったわけ。で、怒濤のエンドロールが流れきった瞬間にいきなりすごい勢いで部屋が明るくなって『よし帰れ!』みたいな演出が!
「しかもMEZさんが言うにはその瞬間に4DXの椅子から"ポンッ"て背中を叩かれたらしい」*5
竜巻の勢いに相応しい客の帰し方なのか、どうなのか!どちらにしろ笑ってしまうな。


ちょっと久しぶりに聞いたゴライくんトーク、これこれこれじゃなくちゃ!と思うと同時に、19時に浴びても精神が23時過ぎの深夜テンションに引きずり込まれてしまうね。
ゴライくんトークが初手で出てくるの、いつも深夜帯に放送している番組が急にゴールデンに呼び出されたときみたいなドキドキがあるなあ…特に今回は、珍しくサークルの後輩が何人も来ていたので、樽で水をぶっかけるみたいな過激な洗礼じゃん!と思ってみてました。

「1を観るのがいちばんキツい、言い換えれば追うごとに面白くなっていく」作品らしいので秋の長すぎる夜のお供にいかがでしょうか。


「じゃあねみなさんバイバイ! Fin!」

2.ヒプノシスマイク特集(ちひろ・なお・こなつ・まっさき with MEZ)

声優×ラップを売りに楽曲と世界観を提供し、昨今の熱狂ジャンルとして地位を確立しているヒプマイことヒプノシスマイクの特集です。わたしも好き!!

9月で始動から2周年を迎え、4thライブも大成功を収めたばかりの音楽プロジェクト。その一体何処に魅力を感じているのか、選りすぐられた女優たちがしっかりと語る…と思っていたのですが。



「「「「ああ~~~かわいい~~~♡♡♡♡」」」
MEZ「ちょっとまってて!!!!この曲終わるまで待ってて、テンション上げる儀式みたいなものなので!」



景気づけにかけたライブ映像に話し手全員が夢中になってしまってスタートができない珍事。推しの前には理性など無力なんだよなあ。

「「「「はあああ~~~~…」」」」
MEZ「オタクが限界を迎える瞬間ってなかなか観られるもんじゃないから見といたほうがいいですよ」

  • 『RAPで白黒つけようぜ!!!』

ひとしきり限界を迎えたのちにようやく始める特集。
まずはMEZさんによる世界観の説明ですがざっくりいうと

MEZ「武力が根絶した世界で、男たちは特殊なマイク【ヒプノシスマイク】を使ったラップによる攻撃で縄張り争いをするようになったんです」

お客「なんだそれ」

素朴な感想!
でもほんとにほぼこれしか公式から情報が与えられてないんですよ。

MEZ「ラップをすると相手に直接ダメージが行くんですよ」
MEZ「男だったらラップができて当然みたいな世界になってる、ホントに言うんですよ『君も男ならラップくらいできるだろう(CV.速水奨)』って!」

ラップでのしあがった各地区の代表がテッペン目指してドンパチラップする、ということです。わっかりやすーい。


「顔が良い!」
「骨格が良い!!」
「脚が長い!!!」
「いいよォ~~~いいよォ~~」

主に声を飛ばしてるのは姐さんふたりですが、隣のガールズも終始口から「はああ…かわいい…」と吐息を漏らしているのが良く聞こえます。

MEZ「マイクのスイッチを入れるとどこからともなく重低音とドラムが鳴って、ラップをすると相手が爆発します

ヒップホップっていうともっとこう男臭くて地に足着けてのしあがるみたいな空気だったところに、イケメンと爆発音と良い声をひっさげて上陸したのがヒプマイというね。
「昔チームでテッペンとった4人が仲違いして散り散りになって、それぞれ新たなチームを作ってぶつかり合う」っていう、ヤンキーの王道を盛り込んでいるところもミソです。


だからこそ初期段階では、作詞作曲を依頼されたラッパーが「常にアロハを着ているヤクザの若頭で、妹とお母さんが大好き」っていう設定だけ渡されて、いざ立ち絵が上がるとイケメンでギャップがありすぎるという……今回話してくれた裏話の事態にもなったわけですが。*6

  • ここからは各地区(ディビジョン)のチーム紹介と推しの話だよ!

この辺で女優たちの語彙と理性が夜逃げを始める。

  • イケブクロディビジョンちひろさん)


BusterBros「兄弟の結束際立つ圧倒的主人公観が魅力」

何でも屋をやってる三人兄弟、次男三男はしかも高校生と中学生なんですよ。教育の質担保!!

熱血と絆で王道わちゃわちゃ感なんだよなあかわいい。

プロフィールを誕生日・身長体重から丁寧に解説してくれるちひろおねえさん。そこに趣を感じる客たちは深く頷き、他の人はポカンとしてます。

  • ヨコハマディビジョン(なおさん:毒島メイソン理鶯)


MAD TRIGGER CREW「裏社会に生きるアウトローたちが魅せるラップ」*7
なお「(他チームと比べて)いちばん骨格が綺麗だと思っている」
MEZ「骨の話?」

暴力のない世界に生きる、ヤクザと汚職警察官*8と元海軍です。*9

司会のMEZさんの推しもここで出て、スーツで眼鏡な入間銃兎くん(29歳:汚職警察官)です。
MEZ「俺ヒプノシスマイクが出るって聞いたときに『頼むから眼鏡でスーツの奴だけは居てくれるな、なんかみじめな気持ちになるから』って思ってて、出てきたのがコレですよ!やってらんねぇよ!!(すき)」


なおさんの推しは重低音ボイスの理鶯くんです。
なお「元海軍で、今はヨコハマの森で暮らしてる無職のホームレスです」
「で、身長体重が191cm/74kgなんすよ、軽くねえか!?身長はオカダ・カズチカと同じなんですよ?オカダは100kg越えてるんスよ?!」
MEZ「あの、打ち合わせの段階から体重のばっかり話しすぎなんですよ、この人ら!骨格にこだわりがありすぎるんですよ!」

ちひろ「いや191cmで74kgって!BMIいくつだよ!!」
なお「85kgあって欲しい」


ここで突如入る入間銃兎のパート歌詞を読み上げるコーナー。演るのは本気じゃんけんに負けたちひろさんです。


(2:09〜2:25)

MEZ「最低じゃないですか!?十何年ラップやってますけどこんな酷い歌詞読んだことない」


Filling Posse 「ポップさは随一!でも性格に難アリなチーム?」

ずーっとデロデロに溶けた声で嬉しそうにリーダー:乱数の紹介をしてくれるこなっちゃん

あざとさ一番・かわいさ百点の乱数くん(25歳)はその実、腹黒な二面性も大きな魅力です。
ちひろ「こなっちゃんは、乱数にどうされたいの?」*10
こなつ「…都合の良いときだけ、いいように使われたいです…(ものすごい笑顔)
ああ~~シブヤの女はみんなそう言うんだよなあ~~~みたいな頷きをしてしまった。同じチームのギャンブラーに「ずっと貢いでいたい」っていうガールもいますからね。

夢野幻太郎のことはちひろさんにバトンタッチ。
「すぐに嘘つくし、一人称も安定しないし、最初顔が好きだなって思って端ですけどだんだんと自分の推しが何者なのか分からなくなってきたんですよ!それでも!!顔が良い!!」
「3人とも誰もホントのこと言ってない」
基本的にポッセの3人、存在を疑われがち*11

そして最後の有栖川帝統くんはとにかくラップが上手い、ルーキー声優がヒップホップスカウトされてますからね。
その上手さも相まって一度聞いたら忘れられないソロ、の歌詞をじゃんけんで負けたこなっちゃんが読み上げました。


(3:56〜4:12)

MEZ「こんなバカな歌詞はないよ!最初スロットの音ですよ」

  • シンジュクディビジョン(まっさきちゃん:観音坂独歩)


麻天狼「光と影が明確に出た色濃いメンバー」
精神科医(中)・人格乖離があるホスト(右)・キレる社畜(左)です。

リーダーの神宮寺寂雷先生は、回復系のラップの使い手です。回復系です。お医者さんだからね!
MEZ「傷が治ります」

まっさき「195cmの61kgです」
ちひろ「軽くねぇか???」
MEZ「体重の話は良いから!」

いや軽いわ!
医者の不養生になってしまうから「食べて……」「もっと食べて…」って客席から声が漏れてた。



シャンパンゴールド

シャンパンゴールド


伊弉冉一二三さんはシンジュクのNo.1ホストなのでラップも大変景気が良い。*12


まっさきちゃんの推しである観音坂独歩さんは、精神科に通ってる社畜です。
MEZ「彼のどこらへんが好きなんですか」
まっさき「どこらへん、んん~えっと、どこ…あのすべてっていう
MEZ「はいありがとうございましたーッ!!」


  • 新展開

最後に、奇しくもゾンビーバーズ直前に発表された新チームの解説で〆です。
ゾンビーバーズで特集をすると活動が活発になるジンクスがうっすらとありますが、まさか2周年のタイミングで新曲と新チームが発表されるとはね…しかも2チームは供給過多だよ!!

  • オオサカ ディビジョン『どついたれ本舗』

いやいやいや他のディビジョン名との落差!!!!!!!
MEZ「飲み込め!俺たちも飲み込んでるんや今!」
ちひろ「私達も今必死に飲み込んでる最中ですよ」

  • ゴヤ ディビジョン『Bad Ass Temple』

なお「メンバーにV系バンドマンがいるんですけど、ナゴヤヴィジュアル系っていって気づいて『ナゴヤ系』っていうのがあったなって!
ゴヤ系だからヴィジュアル系バンドマンだとしたら運営天才かって」

飲み込む暇もなくラップ公開されててんやわんやだよ!!
わたしはどついたれ本舗が大変気になります!!!!!!!!




そんなこんなで大盛況なヒプマイですが、なんと公式YouTubeチャンネルで集合曲フルと各シングルトリビュートは聞ける!
サブスク配信もしてて音楽コンテンツとしては入りやすい環境整えてるので、今後の発展が期待されまーす、シャンパーン!


3.LIVE(MEZ&MC凜)

ライブだライブだ!!
初夏から始まったひと夏のフェスざんまいを越えてきたコンビふたり。経験を積んでいっそうキレが増したかっっっこいいパフォーマンスと楽しいお喋りで大暴れでした。むちゃくちゃ楽しかったよ。

まず始まる前から、マイクを持ったふたりはノッサモッサわっちゃわっちゃと大変楽しそう。

MEZ「ヒプマイ特集の後にライブなんかやりたくないよ」
凜「もうめっちゃ帰りたいですもん」
MEZ「そもそも声が良いんだからそれに比べたら俺らなんて、ねぇ!!」
凜「社会にごめんなさいしよ」
MEZ「そこまでしなくていいよ?!」

機材トラブルで開始待ち中でも
凜「こういうときなにしてればいいのかな」
客(わたし)「MCー!最近あったことー!」

って無茶ぶりしたのに、きっちり「職場で露呈した性癖話」をしてくれた凜さんさすがやなって。MCしっかりやるのってレアだったかも。

こんな風に、イントロ流してもうたう3秒前までゆるゆるお喋りしてて、でも瞬間スンッて入り込んでマイク握るコンビなんなの。かっこいいの。

  • lips

前述の通り最初が和やかな入り方だったからか、後半にかけてふたりのエンジンのかかり方がむちゃ急勾配で、あああかっこよいか~~~ってアガりました。

MEZさんメイン曲の時の凜さんのコーラスがまた好きで。
「挑発に乗せられ今晩も/あなたに溺れてく All Night Long」のとことかなんだけど、その行の最後のフレーズの締め方に色気めっちゃ出してくるなあって。声の使い方が上手なんですよねえ。フロウっていうのかな。
ビビッドなアイシャドウを乗せたみたいに、曲にぱっと別の色が重なるうたいかた。かっこいいよう。

  • まだ寝てたい

いつも聴いてる曲だけど、ガンガンに早口ラップキメて、睨むように客席を煽るMEZさんが今日はいつになくワルに見えて、ヒプマイ特集の後だからかなって思いました。汚職警官みたーい!*13

MEZ「さすがにまだ負けるわけにはいかないですよね、ラップ始めたばかりの男性声優にはね」
MEZ「あいつらかっこいいんだよなーーーーーー負けたくねーーーーなーーーーー」(大の字)

その言葉通りここから後の曲もキレッキレでかっこよくて、先駆者の意地!!って感じがしました。

今年の演フェスで話題をさらったラッパー・MCタイトキックに提供した曲のリミックス。本番も盛り上がってたし8月のゾンビバフェスで聞いたときも楽しかったなあ。
"挙手!"ってフレーズに応えて手を上げるんですけど、芝居に参加してた演研'sたちの反応速度と勢いがやう゛ぁい。稽古されすぎ。
自分が最前に居たので、後ろから声が塊でズドッて飛んできてつんのめるかと思った。

歌詞はタイトキックVer.から全取っ替えでそれも聞き込む余地があるしかっこいい。
そして凜さんが出演したお芝居になぞらえての歌詞をひっさげてなんですけどね。
この曲のさ!!凜さんがさ!!むちゃかっこいいわけ!!!!!聞くの2回目なのに聞き惚れてグッとくる歌詞。
役を背負ってソロで思いの丈を吐露するのがすっげぇよかった。

  • ぼくらのゆくすえ
  • 水星

なかなか捲られてくれない袖が気になって噛んでしまったので、弟子に舞台を任せて客席へ降りる師匠。
「オレ袖直すから、一曲お願いします。4分くらいかかるから」
凜「袖に!?どこまで袖?!!

もうイントロ入ってるところなのにMEZさんへの袖いじりは続くし、凜さんもどんどん乗っかる。
MEZ「ホラ!いま直してんすよ!」
お客「舞台袖でね」
凜「さすが!ヨッ!!冴えてるなあ!!」
別のお客「MCが(曲調と)アンバランスだよ!」

でもこの後曲にシュッと入り込むのほんとずるいよなあ。
きらきら遠くへ連れてってくれる凜さんのうたが本当に上手いんですけど、それを引き出す歌詞の良さ*14。毎回書いてる気がするけどMEZさんの歌詞すきだなあ。良い曲過ぎてみんな大好きになっちゃうよ。

  • よるのそこにて

MEZ「どんだけ暴れても最後にラブソングをやればなんとかなるって僕のラップの師匠が教えてくれて」
凜「へー!」
MEZ「うん全部嘘です。……(ヒプマイ勢へ)こうゆうのがええんやろ!」
凜「首傾げてますよ」

全体通して褒め通しなんですけど、今回「よるのそこにて」のうたう声が特に良くてだな。吐息多めのフレーズと伸びるコーラスが大人っぽくて、とても素敵素敵。MEZさんのうたと良いバランスで寄り添っている曲なんだなあと改めてときめきました。

凜さんほんとうにパフォーマンスが堂に入りつつあらっしゃる。しゃっしゃっしゃっしゃ。
MCシーンが破天荒になればなるほどギャップとして引き出される表現力なのか。*15

回を重ねる毎に一枚一枚、表現の仕方が多彩になって、その曲の音が深まるようなうたいかたをされている。ぶえーすごいよう。

MEZ&MC凜は今回も最高で最高で。
毎回「今日みたいな楽しさはないだろう」って思わせてくれて、でもその次には楽しさがまた更新されるライブ、なかなか無いよ。だからどのフェスに出張してても楽しみに観に行けるんですよね。


4.大好きな必殺技特集(植田そうへい・阿G)

植田「みんなーーーーーー必殺技が欲しいかーーーー!」
\\\\欲しーーーい////
植田「甘ったれてんじゃねーーー!!!人生にな、必殺技なんてねぇんだよ!

開始 即 突き落とし

早速演劇界隈の先輩からデカい技が決まったところからスタートです。今夜は特に若い子が多いんですよ!!

植田「人生ってのはな、積み重ねて積み重ねて、人生を積み重ねてようやく一人前になるんだよ、そんなお前らはなぁ!感謝の正拳突き一万発やってこい」
阿G「HUNTER×HUNTERのネタですね」

とはいえみんな大好き必殺技。
題字からも滲み出る必殺技フリークの植田さんが求める「必殺技三要件」の話からスタートです。

植田「まずひとつめはこちら!」
阿G「(スケブで)②がもう出ちゃってますよ」
植田「よくあるよくある、こういうトラブルは楽しんでください」

  • ①名前と決まった動き

ジョジョ三部のディオがラストで出した『ロードローラーだッ!!』っていうやつはゲームだと超必殺技になってるけど、必殺技って言うよりは作戦だよね。特定の動きがあるわけではないし『ロードローラーアタック!!』って普段から練習してるわけでもない」
阿G「ロードローラー持ち歩いてる訳でもないですしね」

  • ②リスク・条件・コストが発生する

植田「大きな隙とかマジックポイントを大量に消費するとか、バンバン撃てないっていうこと」

  • ③格上に逆転できる

植田「コレが一番大事だと思うんです!」
ベジータを例に挙げて説明です。*16
阿G「格下に効いて格上に効かないのはただの技ってことですね」

植田「ギャリック砲に至っては敵に撃ってない、『地球を粉々にしてやる!』って地球に向かって撃ってて」
阿G「すごいんだけどね!」
植田「あれからどんどん地球が弱くなっていく、ドラゴンボール界では地球がすぐ壊れちゃう

元気玉
植田「これも構えている間は無防備なワケでリスクが発生するよね。だからお前らが偶然元気玉を習得したところで那須川天心に勝てないから!『オラに元気を~!』って言ってるところでやられちゃうから」
阿G「(お客さんを)『お前ら』ってのやめましょ!」

魔貫光殺砲
植田「個人的に必殺技として優秀だなって思うのは『魔貫光殺砲』」

「螺旋状のビームがびゃーって出て、コレがバーッて当たるとズバァッて貫通して、こう、すごいやばいっていう」
語彙よ。

植田「あるブログで読んで気づいたんだけど、ドラゴンボールって"爆発"はたいしたことないんだけど"貫通"と"切断"は死ぬんですよ」
阿G「もう描かれちゃってますもんね」
植田「当たったら身体に穴が空いちゃって確実に殺せるって技」

阿G「じゃあ魔貫光殺砲はあんまり防がれてない?」
植田「それがですね、リスクがあって。『長い時間溜めなければいけない』『避けられてしまうと意味が無い』」
「そのリスクをどうしたかっていうと悟空が相手を羽交い締めにして『オレごと貫け!』って言ったから悟空ごと貫く!っていう」
阿G「アツイやつですね」
植田「能力が三倍以上強いラディッツに勝ってるからコレはもう確実に格上を倒す技、必殺技としては非常に優秀」

植田「でもまぁ~~~~この魔貫光殺砲はこの戦いの後使ったためしがない、というかこの後撃ってる絵は(魔貫光殺砲の)これなのに名乗らないんです」
植田「日常的に撃つようになったのかな」
阿G「味を占めたのかな」

  • 「極大消滅呪文」

植田「これなんて読むか分かります?」

メドローア!/

阿G「おっコレ分かるのは世代ですねえ!」


ドラゴンクエスト ダイの大冒険
植田「平たく言っちゃうと『ドラゴンクエスト』の漫画化です。仲間のひとりとしてこいつ、ポップが出てくるんです」
阿G「初期のころは弱虫な奴として描かれがちだったんですよね」
植田「そうそうそう、すぐ逃げちゃったりして、人格的にちょっと問題のある奴
\言い方、言い方!

植田「(ダイの大冒険が)ドラゴンボールと最大に違うのは、あっちは強い奴は強い波を撃つ、弱い奴は弱い波しか打てないんですよ。強さに比例して波・ビームが強くなる。
ポップは、身体能力は他の仲間たちよりも弱くて、そこを魔法・ビームで補ってるキャラ。そういう意味ではポップの撃つ技って言うのは全部必殺技ともいえる、MPを消費してるわけだから」

阿G「これ(メドローア)は漫画オリジナルの魔法なんですよね」

これ読者にとっては弱いキャラの成長こそロマンだよね。弱いキャラが誰よりも強い技を使えるようになるって言うのは、希望を抱かせてくれる存在として永遠のあこがれなんだよなあ。




植田「オレもよく理屈はわかんねーんだけど、常温になるだけじゃねーのって思うんだけど」
「当たれば百パー勝てる!」


●MP消費が大きいから多くは撃てない
●(マンガ的な都合で)あんまり敵に当たらない
●跳ね返されると逆に仲間が全滅する
リスクの半分がマンガの都合と言うところが悲しいかな。

植田「まあこの必殺技も、痛みが分かんないわけ。次は痛みがみんな分かる必殺技、これです」

  • 五所蹂躙絡み(ごどころじゅうりんがらーみ)

「この技分かる人居ます?」
字面だけ見せられた時点ではほとんどぽかんとしてました(一部の人間だけ吹き出して震え出す)


ここから説明を聞くにつれ、だんだんと「アレッ???」「あれそれってwww」と声が上がっていったのがさすが有名どころ。
さあみんなで再現しながら当ててみよう!




植田「これは、相手を逆さに抱え上げて、両腿を持って、相手の首を自分の首元に固定させて、ジャンプして、尻餅をついてガッ!って衝撃を与えることで、首折り・背折り・股裂き三つの必殺技を同時に決めるというすごい必殺技、五所蹂躙絡み」





「またの名を『 キ ン 肉 バ ス タ ー 』」
阿G「ですよねぇ!!」

あまりにも強く、だからこそ使われがちなキン肉バスターへの対策を語るところで「ゆでたまごの言うことだから話半分で効いて欲しいんだけど」と良い意味で作者を信用してない植田さんがよかった。


植田「あとこれあんまり言いたくないんだけど、プロレス技だからこれ、(技を)かけられる相手の協力がいるわけです…*17
だって技をかけられる方が、この*18状況でじっとしてるわけがないんですよ絶対!」
阿G「そーゆー見方もね、ありますよね(明後日の方向を見る)」

植田「あとね~これみんな使えないでしょ。だってムカつく上司がいて、『キン肉バスターかけてやる!』って思ってもまず背中合わせになる必要があるじゃない、
ムカつく上司は背中合わせになってくれないよ!!」(大喝采


阿G「魔貫光殺砲も使えないよ?!」
植田「そりゃ使えないよ、メドローアだって使えない。
ここにいる95%はきっとメラもヒャドも使えないよ」
阿G「5%は使えるんだ!?!すごいな!??!」

「でもこっからはお待たせしました、みなさんも使える必殺技です」

\おっ/\おっ!/

  • 明日から使える!ムカつく上司への必殺技
  • 忍法"跳頭"(『ムジナ』)

植田「まず準備としては、髪の毛を全部剃ってカツラにします。ちゃんと最後まで聞いて」
植田「カツラにバネを仕込んで留め金で留めといて、使うときにその留め金をバッて外すとバネ仕込みになったカツラがボッ!って跳んで、びよん、びよん、びよん…っていう」

なにて?



植田「具体的にはこう」
阿G「うん、…うん?」
植田「これこそが俺は必殺技中の必殺技だなって思うんだけど!!」

ナンセンスコメディ*19の話ですよね?続けて?

植田「忍者同士の戦いは先読みが大事、先読みできなくなった奴が先にズバァって切られちゃう」
「そういうすごいスピードで戦ってるときに急にズバババババ(びよんっ)『エエッ!』その間にズバァッ!!ってあまりにも無意味なあり得ない行為に混乱しちゃう隙を狙う。これで何度も勝ってる」
阿G「何度も勝ってるんですか!すごいな!!」

ちなみにくノ一版で急に全裸になる「海月落とし」という技も出てくるそうで、もう意表を突くために我が身すら使う忍びのストイックさが窺えますね*20

植田「でもやっぱり欠点があって、この技絶対に知られちゃいけない。父親からは『見られたらたとえ親兄弟でも殺せ』」
阿G「忍びの世界は厳しい」
植田「あとこれ、お前ら使えるけど、忍者と戦う機会が無いじゃない、お前ら使っても宴会芸にしかならない」
阿G「(食らう)俺らも忍者じゃないから、一瞬フリーズさせられたところでどうってことないよね」
現代社会では捨て身の一発芸にしかならないのかなしすぎるでしょ。

阿G「ハイハイハイ!(頷く)コレ大好きです!」

調べたらある層のバイブル的存在という、冴えない主人公が奮闘していくマンガ。に出てくる、名前からしていかにも必殺技っぽいやーつ!!

植田「名刺を出すじゃん、名刺に視線がいってるその隙にショートアッパーを顎にガッて打ち込む

シンプルかつえぐい!!

植田「顎に当たれば確実に脳にダメージいくから、もうこれさえできれば間違いなく」
阿G「うん」
植田「苦手な上司をころせます」
阿G「上司にかけること前提の技多いですね?」

植田「ただし原作では好きだった女の子にこの技バラされて、相手のイケメンに『サラリーマンアッパーなんですよね?』って言われてそっから主人公殺戮ショーが始まってしまう…」
阿G「イケメンがカポエラ使いなんですよね」
「笑い所なんだけどなぜかイケメンがカポエラを使いだす」
急に慣れない単語が飛び込んできたな!

植田「やっぱりバレたら終わりっていうのが最大の弱点ですね。でも大丈夫、バレてもなお強い必殺技があります」

  • バレても大丈夫なオススメ必殺技

植田「これ今回一番"必殺技賞"を差し上げたいと思う必殺技で」
客「(必殺技賞???)」
「僕の中でキングオブ必殺技です、それがこちら!」

(重々しくスケブをめくる)(やっぱり1ページ飛ばしてる)(あわあわ戻る)
こういうところが植田さんの愛嬌だと思う。

  • 卜辻(『喧嘩稼業』)

植田「コレね、"うらつじ"って読みます。」
阿G「来ました」

植田「これ使ってるのは、現代の忍者で忍術で格闘大会に出るっていう奴」
阿G「『喧嘩稼業』っていう漫画ね、今連載中で宇宙一面白い漫画
植田「そう宇宙一面白い漫画なんすよ」

「『素人が一日で覚えられる必殺技』『素人が達人に勝てる技』って作中で言われてるんです。
だからホラ!仮に上司が武術の達人だとしてもコレ覚えれば 楽 勝 」

「具体的には、①胴に向かってタックルする ②逆利き手で腿を掴む ③斜め45度に掌底を撃つ」

植田「ネットの前評判では、格闘家とかプロボクサーが出る大会に『忍者ってお前wwwww』って前評判だったんですよ」
阿G「このキャラの愛され具合がネットでやばい」


植田「この技のすごいところは、1試合で3発くらい成功してる、対応できないんです」
阿G「(1発でころせなくて)効いてないやんけ!って思うかもですけど、コイツ(相手)がおかしいだけですからね」


「でもこの技にもね、残念ながら欠点があって。なんだと思う?」



「『素人でも覚えられる』からパクられちゃうの。格闘技経験ゼロの相手に。だからこの忍者は卜辻でやられちゃうっていう」

ああー…ああーー………(´ω`)

植田「だから上司にバンバン卜辻撃ってたら上司が覚えてしまうね」


植田「こうやって見てきたけど、やっぱり日常に必殺技ってのはないんだ(´ω`)」

(どよめきが走る会場 ここまで頑張って覚えてきたのに?)

植田「我慢するしかない、我慢できない場合は法律で戦うしかないんだ
阿G「wwwwwwwwww」

ド正論だ!イヤな上司には労組で戦いましょう。

植田「以上、日常の歩き方でした」

厳しい世間を歩く若人たちにありがとう!必殺技を胸に歩いていきたい、いざと掌底を上司に叩き込めるように鍛えておこうと思います。


5.秋に観たい海外ドラマ特集【僕たちのユージーン特集】(ゴライ&MEZ)



PON!
ゴライ「はいどうもー!」
MEZ「いつも思うけどこのくだり、なに?」

このオープニング、何の意味があるか掴めないけどキャッチーで良いよね。

ゴライ「今回紹介するのはこちら『プリーチャー』」


ゴライ「主人公、名前何でしたっけ、あっジェシージェシー
主人公の名前やぞ!シーズン4までやってるんでしょ!

メインどころは、突然天使と悪魔のハーフを体内に宿し超能力を手に入れちゃった牧師(殺し屋の顔をしている)*21、強めの元カノ、突然居着いちゃった吸血鬼です。



主人公の役者さん観たことあると思ったら『キャプテンアメリカ』ファーストアベンジャーでのスタークパパやんけー!お顔がよろしい。


ゴライ「ただオレらはこいつら(主人公たち)の話をしたいわけじゃないです、今回はこちら『僕たちのユージーン特集』!!
MEZ「ユージーーーーンーーー!!」

本筋そっちのけでゴライくんの心を掴んで放さないキャラクターのお話です。もう深夜だしエグい話もばっちこい。






わっっっっっっ???????


ゴライ「こーゆー子です」
MEZ「はいごめんなさーい、結構ショッキングな顔してますね」
ゴライ「カワイイ顔してますよね口のあたりとかね」
ゴライくんのキュートセンスには引っかかってる感じですね。

ゴライ「口が(・*・)こういう感じなんで流動食しか飲めません、チュチュチューって」
「喋り方も『ハイ、ボクユージーン』って感じで喋るんですよ」
MEZ「(真似が)似てる!似てますからねこれ!」



MEZ「ちなみに言っておきますがユージーンは脇役です、メインの話には1割くらいしか関わらない」
ゴライ「そうこれから話すユージーンくんの話はプリーチャー全体でいうと5%くらいの話だけどその5%がとにかく好きだからとにかくその話をしたい!!」

相関図だと一番隅っこだし、ほんとに脇役だ…
話だと年齢分からなかったけど高校生だったのね。


ゴライ「じゃああとはスマホのメモ見るんでコレ(プロジェクター連結してるコード)抜きますね(コードを捨て置く)」
MEZ「おおおーい!!」
ゴライ「あと見づらいんでコレも外します(言及しなかったサングラスも外す)」
MEZ「やっぱソレ見づらいんだ…」
シャークネード特集でも直ぐに外しちゃったのに、必ずかけて登場するゴライくんのこだわりがいいよ。




顔の原因ともなった事件で村八分になってたユージーンくんは、主人公の超能力(ジェネシス)によって住人と和解できたものの、主人公の怒りを買ったせいで地獄に落とされちゃう*22

ゴライ「でも地獄には人数制限があって、ジェシー(主人公)が勝手に地獄に落としちゃったからこう、区画の機械の電源かなんかが落ちちゃって」
MEZ「キャパオーバーになっちゃう」
ゴライ「『侵入者がいる、お前ら全員出ろ』って看守のすごいオバチャンに言われてみんな出るんですよ、その中になんとヒトラーがいるんですよ
MEZ「ヒトラーがいるんです」

ゴライ「『おわーヒトラーだー!すげぇなどんどん面白くなってくんなぁ!』って思ってたら、ヒトラーがなんか大人しいんですよ『やあユージーンくん』って」


ほ、ほんとにヒトラーだ。




ゴライ「地獄なんで、良い行いをすると"スーパー懲罰房"みたいなところに連れてかれちゃう」
「そんでみんなヒトラー嫌いだから虐めてるんですよ。ヒトラーが『助けて』って目でユージーンを見るんだけど、自分もスーパー懲罰房に行くの嫌だからベベベベッて(蹴る殴る)やって、ってところでその話終わって」

"ヒトラーが地獄でいじめられてる"って結構なインパクトあるなあ。そしてサラッと出てきたスーパー懲罰房 is 何。

ゴライ「『あれユージーン出てこないな』って思ってたらなんとね、ユージーンがマッチョになって出てくるんですよ。すげーイキッててブイブイ言わせてる」
MEZ「久しぶりに出てきたら、なんか知らんがマッチョになってる」
ゴライ「好きだった女の子の名前のタトゥーも背中に入れてて、うぉおすーげー!ユージーンどこまで行くんだお前って思って!!」
MEZ「思想もマッチョになってる」

ゴライ「で、(S2の)11話で地獄やばいから逃げようってなって作戦を(ヒトラーが)立てるわけ。」
ゴライ「大部屋の中に何を言っても突っかかってる奴がいて、『なんでお前になんかついて行かなくちゃいけねーんだよ!』ってそいつが言ったら
『それはな…私が!アドルフ!!ヒトラーだからだ!!!!』って!!!
おわーヒトラーが覚醒したー!!!すーげえー!!!ってなって、ついに化けの皮をバリィ!!って破いてヒトラーが覚醒するわけ」


本性を現したヒトラーと一緒になんやかんや脱獄して現世に戻れたユージーンくん。

ゴライ「(現世行きのバスから)降りた瞬間にヒトラーが逃げて向こうの方行っちゃって、ユージーンが『ソンナア』って言ったところでシーズン2が終わります」

ちょこちょこ挟まれるユージーンモノマネが腹筋を振るわせにくる。



ゴライ「シーズン3でセイントオブキラーズが、サタンに命令されてヒトラーとユージーンを地獄へ連れ戻しに来るんです」

「コイツの銃があらゆるものを殺せるんですよ、劇中だと天使って殺されてもリスポーン(復活)するからジェシーが殺しても殺しても生き返って周りに天使の死体だらけ、みたいなシーンがあるんですけど、セイントオブキラーの銃だと殺されたらリスポーンできない」


ゴライ「話忘れちゃったんですけど、シーズン1で最後にテキサスの街が粉みじんにボカーンって吹き飛んで」
MEZ「あの理解できないと思うんですけど、シーズン1の最後に舞台の街が爆発して何にも無くなって終わります伏線とか生き残ったやつとか全滅」
ゴライ「『もうお前らシーズン1で終わり!バァーン!!』って全部しんじゃって、(主人公)3人と地獄に落ちたユージーン以外全員生き残らず終わります」
MEZ「斬新だよね」

地獄から必死に帰ってきたのに知らん間に住んでた街が焼け野原になってるのキビシすぎるな…

ゴライ「ユージーンは連れてかれた児童養護施設でも前向きに『これも神さまの計画の一部なんだよ』って言ってるわけ。そしたら『ユージーンさん保護者が見つかりました』『ホラネ!』って言ったら、さっきのセイントオブキラーズがバァーン!って立ってて」
MEZ「HOGOSYA-!!!」



ゴライ「一方ヒトラーがね、パン屋で働いてるんすよ。そこで演説して次世代のナチ親衛隊を育ててるんですよ」
MEZ「パン屋でな」
ゴライ「そしたらセイントオブキラーズが来て、『私は!ここから!断じて動かんぞ!』って言ったら次のシーンでもう連れてかれてるんスよ

ゴライ「で、ふたりとも地獄行きのバスで連れ戻されるんですけど、(主人公の元カノの)チューリップも紆余曲折あってバスに乗ってて。なんとか脱出しようってセイントオブキラーズを怒らせるわけ」
「そしたら急に爆発があってバスが横転しちゃって!なんだって思ったらナチ親衛隊が戦車に乗って出て来くるんですよ!!『すーげぇヒトラー頑張ったなあ!!』って思って」
MEZ「あれはアガるシーンだけど、いいのかなあ?!」


そこから一悶着あってユージーンは地獄に送られるものの、下克上でサタンを殺したセイントオブキラーズによって地上に戻して貰えることに。よかったねユージーンくん。

ゴライ「ヒトラーが(地獄に)残るじゃないですか、ヒトラー何すんのかなぁって見てたら、おもむろにサタンが座ってた椅子に座って地獄の支配者になっちゃう
(大 喝 采)
MEZ「最低やな!!およそ考え得る最低のオチだな!!」

ユージーン特集に見せかけた「僕たちのユージーンとヒトラー特集」だよねこれ!!途中からうすうす思ってたけど。



訪れしもの

訪れしもの


ゴライ「絶賛配信中です。シーズン4までなんで、ぜひプリーチャー見てユージーンの活躍を見てください!じゃあねバイバイ!!!」

MEZ「……主人公サイドの話全然してないじゃねえか」
ゴライ「だって主人公オレそんな好きじゃないんだもん



おわりに

今回はトークマシマシ回!コーナー聞き終わってからも客席で続きの話ができて大変楽しかった!
普段話せない相手ともわちゃわちゃ交流できるし、それが楽しかったなあって帰れるからとてもいいイベントだよね。飲み会の延長線上にある狂乱の集まり。
ステージに上がるひとたちも、自分の好きを話して楽しそうな姿ばかりで、それを見てこちらも嬉しく楽しくなるわけだから幸福の倍々ゲームですよ。
そして客席も、手拍子やコールに素早く反応して返せるの、オタクの多い集まりゆえの瞬発力だなあって思います。みんなで楽しくなるために、主役を邪魔せずさらに盛り上げる関わり方って大事だよね。




感想書いてる間に残暑も過ぎ去ってもう初秋ですが、熱気抱えて下半期も生き延びていきたいよ!


またね!

*1:ぬいぐるみに対してみたいな表現だな

*2:空から襲いかかるサメをチェーンソーで下から切り上げる動作

*3:文字に起こしても意味分からんな

*4:この辺のゴライイズムが良いですよね。

*5:これ他の上映館でも同じだったのかな、情報お待ちしてます(だれだ)

*6:そう言われると歌詞に感じた「綺麗な顔の割にちょっと土臭い雰囲気」に思い当たるところがありますね…「見たら気ぃつけなこのアロハ!」とか「しない神頼み 気にしないセオリー 忘れない母のお守り」とか

*7:ちひろ「嘘つくな!!」

*8:マイク使って尋問もするのかな?

*9:暴力性を引っこ抜かれた結果、ファンからは工業高校の男子みたいなやんちゃボーイズ扱いだよ!

*10:「おいオッサン!オッサン!」と野次が飛ぶ

*11:何一つ信じられないポッセのことをそれでも信じて理解しようと解釈を紡いでいたら、それはきっと後世に残る聖書になるんじゃないですかね。

*12:ちひろ「独歩が羨ましい!だって朝起きたら超絶美形の金髪ギャル(注:一二三くん)がシャケ焼いてるんですよ!!!!!」幻覚じゃなくてドラマCDで出た事実なのが恐ろしい

*13:そも曲調を考えればマイナー調だし歌詞もダウナーだもんね。早起き社会に中指立ててるもんね。

*14:改めて今回噛み締めて、噛み締めすぎて歌詞の話だけで500字くらい書きそうでやめました、いつかやりたい

*15:お客さんを煽るのに「ヒューヒュー!」は良いけど「Pow!PowPow!!」はさすがに分からなすぎたしそれで高まっていく場が理解の範疇を超えて爆笑しました

*16:植田「申し訳ないけどみんなドラゴンボール読んでる前提で話進めるんで!!」

*17:阿G「危険なこと言ってますよ!」

*18:逆さまに抱え上げられる

*19:後日wikiであらすじを読んだら全員重々しいシリアス設定で、この絵のバカバカしさが浮かばなくて怖かった

*20:このへんで「女の裸」って聞くだけで手を叩いて笑う女性の声が聞こえるんですけど笑いのツボとしてちょっとどうかと思いますね(本人談)

*21:処女懐胎ってことだよnってトーク中思ってました

*22:ひとを簡単に地獄に落とすなよ牧師

8/15 『サマー・オブ・84』 咀嚼感想

友人に誘われて観ました。

「ラストがトラウマ」「衝撃のラスト」前評判こんなに上げてていいの~~~???とニヨニヨしながら観てみました。*1

終わって席を立つ辺りではもうもやもやする。
トラウマ級の衝撃、というにしては鈍い。というか、無い。
衝撃 is どこ?
でも、つまらないのではない。スッキリと観やすいし主人公たちの冒険も最後まで飽きない。面白かったしよく出来ていた!!

でも制作者の意図とは?

わかんなくてもやもやしてたけれど、帰り道友人たちと話して整理して、この夏の終わりにまた振り返ってなんとなく言語化できそうだったので、書けるかな。


端的に言えば鈍い気持ち悪さが残るお話。その気持ち悪さってなに?とほぐしてみたやつです。
それが制作者の意図していたものだったら、この気持ち悪さを映像化できたのはすごいなあと思う。

ネタバレはもちろんあるし、想像による補完も含めた感想。ホラー詳しくないです。

ネタバレの前に友人チームの中でちょっとスレてるけど幼さの抜けない美少年イーツくんを観てください。お顔がよろしおすな〜〜〜*2




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最初にもやついた理由はたぶん、ジャンルを測り間違えていたんだろうなと。先方の提示したジャンル名とこちらの受け取り方に齟齬があった。

友達から上記の3単語だけ聞いて勝手に「ジュブナイル要素のあるスラッシャーホラー」って組み合わせた結果、『IT』(2017)を観る気満々でこの作品を観たんですよ。だからあれっ?って思った。

殺人鬼、あんまり作中で子ども殺さないな。血が出てこないな。脅かしてこないな。子どもたち普通に親に怒られたな・・・。
ようやく家に侵入してもちゃちい隠し部屋とちょっとした死体(ちょっとした?)だけだな、アッ復讐!復讐だー!そーれっ復讐復讐・・・あっ終わってもうた。


整理した今なら言えるぞ!「ホラー映画オマージュ愛に溢れた現代的ジュブナイル映画」だなこれは!
と思って今やっと公式イントロダクション読んだら「熱烈な80年代オマージュに貫かれたジュブナイル映画」ってハッキリ書いてありましたね。や、やっぱり~~~

「現代的」と書いたのは、昔から愛されてきた正統派ジュブナイルを歪めて、一筋縄でいかなくしたところが面白いところなんだと思う。

1984年、オレゴン州イプスウィッチ。緑豊かな郊外の住宅街で暮らすデイビーは、エイリアン、幽霊、猟奇犯罪などの記事の収集に余念がない少年だ。
そんな彼の15歳の夏に、近隣の町で同年代の子供たちばかりが狙われる連続殺人事件が発生。その犯人が向かいの家に住む警官マッキーではないかとにらんだデイビーは、親友のイーツ、ウッディ、ファラディとともに独自の捜査を開始する。
はたしてデイビーの推理は正しいのか、それとも行きすぎた空想なのか。
やがてデイビーの行く手に待ち受けていたのは、彼の想像をはるかに超えた恐ろしい現実だった……。

正統派ジュブナイルにおける、そして主人公たちの思い描いていたストーリーはこうだろう。
「得体の知れない悪い奴を見つけて、その正体をみんなに晒して追い出して、街は平和になりました。勇気を出して冒険した僕らはヒーローだ!めでたしめでたし!!」
この物語の邪悪な点、そして妙は、この筋書きの最初と最後をぐしゃぐしゃに握りつぶしているところだ。

  • 「めでたしめでたし」で終わると思ったか

まあ犯人、復讐に来るとは思いましたよ。逃げてから数時間良く潜んでいたなあとは思うけど。
友人を殺し、少年を傷つけ、犯人は歯を剥いて脅かす。いつかお前を殺す。ただしすぐではない、いつかまた自分が目の前に現れる恐怖を、味わいながら生きていけ……

子どもの頃読んだ冒険物語って、自分の世界から別世界に行って大冒険してきて、帰ってきたらいつも通りの夕方で、お母さんが夕飯に呼んできて・・・みたいなやつだったよね。ドラえもん映画とか『二分間の冒険』とか。

彼らは夏の冒険がしたかったんですよ。誰も傷つかずに勇気を示して、少しだけ自己肯定感を上げて、元の場所に成長した姿で帰りたかった。それと同時に、非現実的な物語に関われるかもしれないというワクワクもあった。誰もまたプレイしてないゲームを起動するような。
ちょっと冒険心の池に足首浸かるくらいでよかったんですよ、犯人を突き止められなくてもきっと。それがねえ……ずぶずぶの沼に頭まで沈められたうえ、臭いが一生取れなくなってしまうとは……

非現実のドキドキの源であった殺人鬼が、これから先も続く現実とがっちり接続されてしまった。
観ていてげんなりするくらい、夢の砕かれるトラウマやんなあと思いました。
(たぶん、ちょっと選択肢間違えたんだろうね)(証拠品が一部足りなかったからノットグッドエンドだったのかもしれないね)

この点については後半「まあ来るべきだよな」と思っていたので、衝撃のラスト!に備えることができました。そしたらそれが衝撃のラスト!だったという。

  • 「連続殺人鬼も誰かの隣人だ」=「得体の知れない誰か」ではない

冒頭主人公が語り、この作品の宣伝にも使われているテーマとも言える台詞。
素直に受け取れば「身近なところにも危険は潜んでいる。疑ってかかろう」という意味だが、もうちょっと捻ったことも同時に伝えているのかなあと。
「連続殺人鬼も、プロじゃなくてあなたの隣人くらいのひとがやっているんですよ」という。

殺人鬼、と聞くと私はすぐに『金田一少年の事件簿』レベルの彼らを思い浮かべてしまう*3*4。多分そこに憧れを抱いていたから、今回の犯人に肩すかしを食らったのだ。

殺人鬼と疑われ、そして終盤その犯行が暴露される隣人の警察官は、主人公たちのことを警戒しているけどわりと順調にアリバイが見つかっていく。というか遺品の隠し方が甘かったり尾行に警戒が薄かったり、ちょいちょいぼろが出ている。
というか、第一声からもうだめだよ!誘拐事件が相次いでいるところで「子どもはかわいいね、冷凍保存したい」とか言ったらそりゃ主人公も疑うわ!

殺害の仕方もちょっと工夫してるのかと思いきや特にその描写はない。死体の皮を飾ったり自分の昔の服を着せたりという強烈さが見つけられなかった。
同じ特徴の少年ばかり誘拐すると言うから、てっきり何か性癖をぶつけているのかと思ったけれど、殺される前だった男の子も無傷に見えたしね。

要するに、殺人の仕方、その隠滅の念の入れ方が普通のおじさんレベルなのだ。なにかしら美学に裏打ちされた、徹底された技術を使っているわけでもなく、ただちゃちい。
「舐めてた隣のおっさんが凄腕殺人鬼だった」のではなくて「郊外住みのおっさんだけど殺人鬼やってみた」なのである。素人ものである。


だからこそ、現実味があって気持ち悪いなあと思える。
劇中でもそうだけど、なにか残酷な事件が起こると「まさかあの人がそんな」「隠れていた衝動」とみんな言う。いつも挨拶していた彼とは、全く違う強烈な一面が犯罪を起こさせたのだと、そう思いたがる。別人として、遠ざけたいのだ。
トラウマを抱えた過去や抑圧が、脳の欠陥が、彼をあらかじめ殺人鬼たらしめ、あるいは殺人技術への飽くなき追求が、周囲への強い怒りが、彼を凶行へと駆り立てたのだと。

んなこたない、と持論として思う。
現実で犯罪をするひとって、そのへんのなんでもないひとが大半だ。そして、誘拐も、虐待も、殺人も、そのへんのなんでもないひともできるしちょっとくらい隠せたりする。そんで隠しながら、普通の顔して庭いじりしたり、仕事に専念したりできる。

この事実、そして「そのへんのなんでもないひと」というのに自分も含まれるという意味は、普段抱えるにはあまりにも恐ろしい内容だから、みんなして忘れた振りをしている。そうして物語には「そのへんのなんでもないひと」ではない、犯罪に凝った敵が登場する。

私は思うのだ。
物語の中でくらい、やたらと美しかったり挙動のキレが良かったり、詩的な台詞がぽんぽん出せたりダイイングメッセージがグラフィティカルだったりするひとが誘拐殺人犯であって欲しい。

「そんなことないでーーーす!」って言いながら脚本書いたのだろうか。邪悪だな(笑顔)

面白い制作集団だなあと思ったので、別の作品も観てみたいな。

*1:そんなにホラー経験は無いです。「IT」や「ハロウィン」は面白かったです。ホラー・グロというだけで過敏にはならないけど、驚かして怖がらせる演出は苦手マン

*2:MCUスパイダーマンのオーディション最終選考まで残ったひとりらしいです。台詞無いまま涙だけで家族間の葛藤を語るシーンがあって慄いてしまった、素晴らしい

*3:いちいち死体を風車にくくりつけたり、マジックで電車から消したりする粋な彼らだ

*4:ネトフリで作業BGMにしてるから…

8/22『ホット・サマー・ナイツ』『永遠に僕のもの/El Angel』

2大美少年夏祭り!

アメリカの美少年・その瞳からは逃れられないティモシー・シャラメと、アルゼンチンの美少年・銀幕デビューにして世界を虜にしているロレンソ・フェロ。それぞれの最新作が同日公開。



配給先も手を組んでコラボ宣伝してるし、これは一夏の思い出に観に行くかとほいほい人を誘って行ってきたわけです。

そんな感想。ここから先はネタバレありです。


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一言で言えば、「一夏の思い出にハッパで大金持ちになっちゃう美少年」と、「音楽を聴いたら踊り出してしまうように邪魔な奴をすぐさま撃ち殺す美少年」でしたね。

『永遠に僕のもの』は実際似合った犯罪者をモチーフにしていると言うことで承知してたんですが、『ホット・サマー・ナイツ』がまさかそんなストーリーラインだと思わなくて観ながら焦りました。

『ホット・サマー・ナイツ』2018アメリ

  • あらすじとキラキラアオハル映画要素


愛する父親を亡くし、大きな喪失を抱えたまま
立ち直れない少年の人生を大きく変えた、ひと夏の経験。

美しい海辺の町での初めての恋、クールで危険な仲間との友情、裏切りーー主演に今最も輝いている若手俳優ティモシー・シャラメを迎え、気鋭の映画製作スタジオA24が贈る、甘く、危うい青春映画は、まさに<HOT SUMMER NIGHTS(熱帯夜)>にふさわしい一作。

1991年アメリカ。
大学進学を控えているダニエル(ティモシー)は、父親を亡くしたことを引きずり夏休みを半ば引きこもって暮らしていた。それを心配した母親に、半ば強引にマサチューセッツの田舎に預けられてしまう。知り合いも無く、避暑に来た金持ちと地元民の間で孤独に夏休みを過ごすだけと思われたが、彼の一夏を、そして人生を大きく変える出会いが待っていた・・・

こういう宣伝の雰囲気だったので
「あーひと夏の恋とか父親の死を受け入れる葛藤とかして、実家へ戻る日焼けした身体が大人びて見えるみたいなキラキラ成長物語なのかな」って・・・・・・
「『永遠に僕のもの』が”闇の美少年”ならこっちは”光の美少年”だな~」って予想して観に行ったら、序盤のパーティーでダニエルが大麻に嵌まってどん引きしました。
ええ・・・あらすじにはそんなことひとつも…どうやって受け入れれば・・・公式はなんて……


ははーん、このパネルを見る限り公式もアオハル映画として打ち出してますね!! 
じゃあそれに乗っかって感想書いてみましょうか!!(やけくそ)

アオハル映画の欠かせない要素である「知らない土地での一夏の恋、男の友情、ちょっとした冒険そして成長」がこの映画でも存分に楽しめるわけですが、
最後の「ちょっとした冒険」が特にエッジ鋭くてですね!

大麻密売で小遣い稼いでる田舎のヤンキーとダチになる」
「ダチをそそのかしてもっと大量に仕入れさせ大金持ちになる」
「気が大きくなって胴元を出し抜いてもっと稼げるコカインを仕入れようとする」
「胴元にバレてダチは銃殺される、大型ハリケーンの中必死に逃亡する」

どうですかこのキラキラクライムストーリー……ダメだろ…

吸入器が手放せず、パーティーに足を運んでみても誰とも話せないでいたダニエルが、稼ぎが増えることで徐々に自信を付け、一目惚れした女の子にも頑張って声をかけられるようになるんです。
よかったねダニエル!ガリで買った高級スポーツカーでピクニックデートもするよ!


いやすごくいいシーンだし美少年と美女なんですけど……


残るアオハル要素として成長があるんですけど、後述の通り成長というか生存すら怪しく終わるんですよね・・・大丈夫かなあ

  • 問題から目を逸らした「つかの間の栄華」に気づけるか


観ながら終始「いいのかなぁ大丈夫かなあ」と思っていたんですが、なぜそう思えるかといえば「こんな成功永く続くわけない」と観てる側は知っているからですよね。先を見通さず今の成功だけを追っていてはいつか絶対落とし穴が来る。

大麻もコカインも、ダニエルは金を稼いでもっと楽しく暮らすための手段としか見てないわけです、自分が売った大麻が街にどんな影響を及ぼしているか・どんな人間から仕入れているのか・そいつを裏切ったとき、どれほど冷酷に掌返しされるのか・・・・・・
もっと身近な話にしたって、彼女と密売ダチにそれぞれ秘密にしていることがある。
密売のダチ・ハンターの妹が一目惚れの相手なわけですが、彼女は兄の大麻密売を憎んでいるため、自分が一枚噛んでいる(しかも当初より規模を大きくさせている)なんてことは絶対言えない。
ハンターにも「妹に手を出す奴は殺す」と最初に牽制されているから、「こないだデート行っちゃった」とは口が裂けても言えない。
いっぺんに彼女と親友にバレること・バレた後のことがダニエルにはまったく想像ができていない。

その証拠として、ダニエルはどちらを取るか葛藤するでもなくのほほんと二重生活を楽しんでる。賭けに出て途方もない量の大麻を捌ききった後のお祭り騒ぎチェキ群からは「このサイコーな夏永遠に続かないかなあ!」というキラキラしか伝わってこない。酒と薬のオーバードーズで鼻血と吐瀉物まみれのティモシーが観られるのはこの映画だけ!

彼女も親友からも縁を切られて、途方に暮れてただアクセルを踏み込むダニエル。
泣きっ面に蜂のごとくそこへ襲いかかるのは、成功の証だったスポーツカーを事故粉砕するトラックと、町を飲み込む超大型ハリケーン

知らない土地と降って湧いた大金という設計ぐらっぐらな舞台で踊り狂えるのは、「まあなんとかなるでしょ」って根拠無く思えちゃう10代しかいない、って客観視させるようにあえてダニエルはとびっきり痛い目を見たのかな。痛い目を見てからじゃないと、ようやく自分の自信に何も根拠がなかったということに気づかないのだ。


似たような話で、「台風でどれだけ被害があるか、子どもの頃はよく分かんなかったなあ」と思い出した。川も遠い地域の家なので、「ただの雨と風でしょ」って軽く考えていた。
大量に雨が降ると川が氾濫して濁流で家が押し流されるとか、風で木の板やレンガが吹っ飛んでくるとそれが風と同じスピードで身体にぶつかるとか、どれだけの衝撃になってどんな怪我をするかとか、全然想像できていなかった。
被害に遭って呆然とするひとびとをテレビで何度も見て、ああこんなに恐ろしく取り返しの付かないことなんだとようやく身に浸みてきた今現在である。

失敗を知らないうちの「まあなんとかなるでしょ」っていう根拠無い自信、自分の経験を思い出すとほんとうに胸が痛い。先を見通さずにその場の勢いでうぇいうぇい決めてしまった言動って、どれも取り返しが付かない。機会も大切な人も一斉に無くしてしまう。

どれだけ周囲から警告が発されていても、経験ないし想像が及ばないうちは知らずに渦中へスキップで飛び込んでしまうのかなと、巨大ハリケーンだと知っていて風雨が強まる先へ車を走らせるダニエルの姿を思い出しながら考えます。*1彼が生き延びたならきっと、次は橋を叩いて渡るでしょうか。


まあ上記のような小難しいことを考えずとも
大麻初体験で勢いよく吸い込んで”ハイ”になるティモシーダニエルの表情がキュート」だとか
「彼女のマスカラと互角に戦うティモシーのバシバシ睫毛 is 正義」とか
「欧米の顔つきだと鼻先がくっつくいちゃいちゃが観られてよいなあ」とか
「90’のネオンサインや看板デザイン、音楽もエモくて最高」とか

いろんな観点で楽しめる映画だったのでオススメです。ドライブインシアターで「ターミネーター2」観てたよ!

一緒に観てくれたお姉さんが「顔が良いと何でも許せるところはあるね…」と帰りに呟いていたのが印象的でした。密売は計画的に!!


『永遠に僕のもの/El Angel』2019アルゼンチン

  • カルリートスの魅惑的美少年の造形が100億点

カルリートスことカルロスの、人を惹きつける姿はそりゃもうみんなが語るとおりで。ぐうの音も出ない美しさ。

ティモシー・シャラメは写真の完成度が高いですが一方ロレンソ・フェロのカルリートスは動画こそ美しい。
盗みに入った家でステージさながら踊る冒頭も、盗品の真珠のピアスをして鏡の前で「モンローみたいだ」と呟く姿も、ラモンの母親がセクシャルに親指で捏ねてくる真っ赤な唇も、わたしの好みの造形よりは少し大げさ・下品とも取れるのに、映像からは目が離せない。
キレイに言えば実在する肉体を持つがゆえの美しさ、俗に言えばそそる身体って感じ。

ビジュアル・役者のポテンシャルも悪魔的美少年そのものとしてポイント高いですが、やはりストーリーに関わってくる点としてカルリートスの「悪行に対しての躊躇いのなさ」が本当に悪魔よりたちが悪く、またその迷いのなさが人間を突き抜けてて神秘的にも思えてしまうんだなあ…

欲しい物は何でも手に入れ、目障りな者は誰でも殺す。息をするように、ダンスを踊るように、ナチュラルに優雅に。

こうあらすじに書いてあったので、まあ気に入らなければ殺しちゃうんだろうなあとは思ってたんだけどほんとうに呼吸をするがごとくスッと人を殺す。
相棒ラモンの父親に教わった拳銃を手指のように扱って、盗みに入った先の主、寝ていた警備員、仮眠してたバーの店員、みんな殺す。ラモンの「待ってよ!ただの空き巣が強盗殺人だよ!」という悲痛な表情も何処吹く風で、ゆったりと宝石を漁っては鏡の前で身につけて「若い頃のママに似てる」とうっとりするメンタルの剛胆さ。

原題を考えるに、「僕は天からのスパイ」と自称するシーンがあることも相まって「かわいい美しい天使ちゃん(はぁと)」なのではなく「人間界に一時的に降りてきてる天上の存在」なのですよね。いわゆる「天から遣わされてきたし人間界の理とかわかんなーい」と小首を傾げながら欲しいものを盗み目障りな奴を消すという。

監督も

(彼は)神の注意を引き、神を感嘆させたいんだ。日常すべてが舞台であり、死さえも現実のものだと思っていない。伝説の人物になったつもりで歩き、ダンスをするように強盗を行う。

こう言ってるし、やはり地上の常識で測る人物ではないのでしょう*2
そんなんがたっぷり楽しめる映画です。お目当てに見に行く人はとてもふんすふんすできるでしょう。


  • 振り回され系不憫ハンサム→(越えられない壁)←←←←←←←←←←ド悪魔美少年

観に行くまで特に注目してなかったんですが、カルリートスとつるんで悪事を働くラモンが、まぁ~~~~~~顔がいい。



このーっ!このーっ!このラテンハンサム!!!!!!!えっなに……その瞳の美しさはなに……
あとでパンフを読むと役者のチノ・ダリン氏は89年生まれだそうで、エッロレンソと10歳違う、というか30歳で高校生役、どおりで色気の付き方が段違いなはずだわいな…

初めて学校でカルロスとラモンが向き合うシーンで「は、顔がいい」となってそこからもう大変だった。
あと中盤盗品の絵画を売るためにコレクターに会いに行くシーンがあるんですが、交渉中のラモンの後ろ姿がまぁ~~~~良い。ラテンの人ってどうしてあんなに腰から脚にかけての筋肉の付き方が素晴らしいんでしょうか。踊るための筋肉。
待ちながら酒を飲むカルロス視点のシーンなんですけど、カルロスの情が入っているにしろ良い身体つき。

ラモンが軽犯罪一家の生まれということで、善良な家の生まれだったカルロスも盗みに荷担していくわけですが、蓋を開けてみればカルロスの方がずっと極悪だったわけで。
次第にカルロスのペースに巻き込まれて逃げられないまま、ラモンはしばらくふたりで強盗と逃亡の日々を続けます。

上記で話したとおり、カルロスがすぐ人殺しちゃうからラモンが焦ってあたふたするという天丼を何回かやります。逃亡中とは思えないよう自由な振る舞いを怒りながらも、ラモンはカルロスの何からも解き放たれている思想に惹かれて離れられないんだなあという、不憫さにちょっとぐっと来ます。世話焼きイケメン好きです。

一方カルロスも、誰も愛さないような顔をしつつもラモンに執着しているけど、何せそのアプローチが若干重い上に通じない。鏡に映るふたりを指してラモンはゲバラ/カストロと例え、カルロスは大統領夫婦のエビータ/ペロンと訂正する。寸の間見つめ合って、目を逸らすのはラモンからだ。

いやでも今ちょっと魅了されてましたよね、もうちょっとで魅了に負けそうでしたよねラモンさん!!!
そうスクリーンに手を伸ばしたくなるシーンだったし、もっと言えば「これあと1秒見つめてればキスしただろうに」というシーンがここを含めて3回くらいあった。絶対そう。


素知らぬ顔をしてるのにあるとき顔を覗かせるめちゃくちゃ重い執着~~~それに気づかない本人~~~~大好きな奴です。日本語題の『永遠に僕のもの』はその辺の雰囲気を拾った感じでしょうか

ボーイズラブコミックで読んだ経験のある、クライムサスペンスと愛情の混ざって濁ったどうしようもなさが映像で作り上げられた感じ。





こちらは本編映像をこれでもかこれでもかと公式が流しているので、気になった方は是非劇場で。
OPダンスと鏡を通して2人で見つめ合うシーンふたつが雰囲気知るのに激推しします。



ちなみに渋谷シネマクイントでは作家さんからの応援イラスト飾ってありました。
中村明日美子さんわかりみしかない……わたしは『10DANCE』の井上佐藤さんにラモンを描いていただきたいです。

*1:そういった苦い痛みを抱えた少し年上の世代からティーンエイジに向けての「立ち止まって考えろーーー!!!先を少しだけ想像してみろーーーー!!!川の動画を撮りに行くなーーーー!!!!」というメッセージと解釈するならこれは公式通りアオハルなのかな。いややっぱこれが全面に押されているなら説教くさくてかなわないな………本編自体は全然そんなこと受け取らず楽しめました。

*2:実在の犯罪者をモデルにしつつも、性格や造形はオリジナルとしたというので、この辺の人物観がそのまま実在している相手の発言ではないです。念のため